朝野裕一

2017年11月19日2 分

身体運動を物理的な視点から見てみる〜アライメントという視点〜

ヒトの身体運動を物理的な視点から見るシリーズ第3弾です。

今日は、アライメント(alignment)です。

アライメントとは一体何を指す言葉でしょう?

骨の配列状態を指す言葉です。

上図一番左のような背骨(脊柱)が曲がった状態や、真ん中の股関節

が開いた状態(外転)、一番右の膝が伸びたり曲がったりした状態、

これらの配列状態をアライメントと呼びます。

人が立っているとき、様々な姿勢をとりますが、どういう状態で

立っているかを評価するときに、アライメントが有用になってきます。

そして、アライメントの変化により重心の位置が変化したり、

重心の位置が同じでもアライメントが異なっていたり、アライメント

同じように見えでも、重心の位置が違っていたりします。

つまり両方の観察・評価が、身体の姿勢や動作の分析に必要になって

くるというわけです。

もう少し具体的に見てみましょう。

上図のように、腰(骨盤)を左右に移動させると、股関節が内側に入り

(内転と言います)反対側が外に動き(外転し)ます。

その股関節(骨盤主導)の動きに伴い重心が左右に動くという図です。

この図(上)は、2番が先ほどと同じ、4番は上体(上部体幹)を

右に曲げることで重心がその重みの分右に移動している図です。

同じ右への重心移動でもアライメントが2番と4番では異なります。

この図はまたちょっとややこしいですが、3番は骨盤共々左に重心移動

5番は右に体幹を曲げながら骨盤は左へ移動。結果として重心は左に

移動しています。

やはり、同じ左への重心移動でも、

3番と5番ではアライメントが異なります。

ではこの比較はどうでしょう。

4番と5番は一見(上体だけ見ると)右に体幹を曲げているので、

アライメントは同じに見えますが、実は5番は骨盤を左に逃がして、

股関節が内(左股)・外転位(右股)にあります 。

一見アライメントが同じに見えても詳しく見てみると異なっていて、

重心の移動は全く逆方向になっています。

まとめるとこんな感じです。

2番と4番は右への重心移動。

3番と5番は左への重心移動。

4番と5番は体幹のアライメントは似ていますが、

股関節のアライメントが異なり、

重心の移動は全く反対方向です。

(※全てこれらの図は正面から見た像になっています)

このように、支持基底面内のアライメント重心の移動を見ることで、

どのような運動や姿勢が行われているかが判明します。

実はここに筋収縮の有無が絡んでくるのですが、 それはまた明日。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。ではまた。

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