加齢と老化の違い
脆さ、反脆さのお話も今回で一旦終わります。
ようやく人の身体に関するお話です。
結論から先に、
・加齢と老化は異なる;老化=加齢+不適応
・機械などの非生物は非複雑系、生物は複雑系
・ストレスはいわば情報である
老化は誰しも憂う現象です。
仏教の四苦八苦の中にも生老病死が歌われています。
しかし、老化は 加齢と同じではなく、
一種の不適応からくるものとタレブ氏は述べています。
加齢は避けられないが、不適応は避けられると。
老化はその大部分が快適さを求めるところから不適応をきたしていることで生まれる。
不必要にストレスを避けることから逆に病気などのストレスへの不適応を
来してしまうというのがその論旨です。
そもそも人を含む生物は複雑系で、相互依存的でストレスを好み、
自己修復力・自己組織化能力があるものです。
機械などは逆に非複雑系で相互依存的ではなく、
ストレスを受けることに伴い劣化(老化)が進みます。
ストレスはいわば一種の情報であって、人の骨に例えて述べています。
骨は重力や負荷などのストレスを受けて強くなる。それが失われると弱化します。
ストレスという情報から骨の脆弱性を強化する働きが生まれる、ということです。
適度なストレスが組織を強くする、は生命体だけではなく人が作り出す組織(会社など)にも
当てはまるようです。そしてイノベーションはそういう中から生まれるとも述べています。
頑健・頑強な組織からはイノベーションは生まれようがない。
何か、イノベーションのジレンマをも想像させますね。
加齢にともなうさまざまな変化は必須ではあるものの、反脆弱性を身につけた(意識はしていないでしょうが)ものは、センテナリアンと言われる人生百年も夢ではないかもしれません。
適度なストレスを身体にもかけながら、多くの方が健康長寿に向けて
運動を楽しむことができればいいなと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
また明日お会いしましょう。