運動よもやま話4
運動を制御することについて、過去に色々な人が理論構築、解釈などを
しています。
古くは19世紀から20世紀の初めにかけて、
ここで先日の逸話(?)をもう一度引っ張ってきます。
“連休明けの月曜日、仕事再開の日目覚ましで起きたその日暮らしの
日暮(ひぐらし)クンは、慌てて起き上がり、顔を洗いに洗面所へ、
そこに昨日飲んだ一升瓶の空きビンが!思わず踏みそうに!バランスを
崩しそうになって一安心”
空き瓶を踏みそうになり思わず足を引っ込める、これは正確にいうと
ちょっと違うのですが、反射的な運動とも考えられます。
もっと分かりやすい例では、この瓶を割れた瓶としましょう。
ガラスのかけらが足に、思わず足を引っ込めますね、意識する前に。
これが反射です。痛っ!と感じ取るや否や起こる防御的反射運動です。
これらの反射的な運動の積み重ね(積み木重ね)が人の運動を形成し
ていると言われました、初めに。
しかし、どうでしょう。全てが反射の集合であれば、運動を説明できる
でしょうか?この理論の根本は、刺激が入ってそれに応答するという
単純なモデルです。果たして全ての運動がそうでしょうか?
外部からの刺激がないと運動は起こらないかといえば、実際は自分から
行う運動もあるでしょう。ヒトに限らず動物でも感覚入力がなくとも
運動が起こることがわかってきました。また、素早い連続的な一連の
動作はいちいち感覚入力のフィードバックをするよりも速く生じている
こともわかってきました。
さらに、同じ刺激でも起こる運動にバリエーションがあるということも
わかっていて(当たり前といえば当たり前のようですが)、もう一つ、
新たな運動を習得するときには、刺激と応答の繰り返しではなく、
それらを統合する何らかの機構があるはず、ということになりました。
そこで次に唱えられる理論が、階層的な制御モデルです。
これはまた次回以降に。
本日もありがとうございました。
また明日お会いしましょう。
参考図書)
「モーターコントロール」第4版〜研究室から臨床実践へ〜
(Anne Shumway-Cook, Marjorie H. Woollacott・著、田中繁・高橋明
監訳、医歯薬出版、2013年.)