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朝野裕一

運動よもやま話5

ヒトの運動が、全て反射で起きているわけではないはず、それにはより

上層部分での制御機構があるはず。

そう考えて唱えられたのが、階層理論と呼ばれる考え方です。

そして脳のより上位(皮質部分)から旧皮質・古皮質と呼ばれる部分、

さらには中脳を経て脳幹と呼ばれる生命にとっての根幹部分、そこから

神経を末梢に伝達する通り路の脊髄へと下位に向かって、制御が行われ

ている、いわゆるトップダウン型の制御理論です。

ヒトが成長に伴って運動を発達させる過程において、この中枢からの

上位制御が形作られるとも解釈されていました。

しかしこの考え方にも限界が生じます。早い話が、先日述べた瓶の欠片

(かけら)を踏んづけて足を引っ込める反射は最も下位のレベルでの

反射であり、それが中枢の制御を待たずに現れるということが説明でき

無くなります。これはトップダウンではなくボトムアップの制御です。

というわけで、この理論も限界が見えてきます。結論としては、

反射機構は運動を制御する唯一の要因ではなく、運動の発現(発達)

とその制御にある一定の重要な要素を提供する因子の一つに過ぎない、

ということで、現代ではコンセンサスを得ているということです。

では一体どのように運動が形成されるのでしょうか?反射の一つ一つを

その都度組み合わせるのはいかにも効率が悪い、きっとある一定の運動

パターンが存在して、それを必要な状況に合わせて発現させているので

はないか?という考え方に至ります。それが運動プログラム理論です。

次回はこのことについて説明(受け売りの翻訳行為と捉えてください)

していこうと思います。今日もお越しいただきありがとうございました

、また明日お会いしましょう。

参考図書)

「モーターコントロール」第4版〜研究室から臨床実践へ〜

(Anne Shumway-Cook, Marjorie H. Woollacott・著、田中繁・高橋明 

監訳、医歯薬出版、2013年.)

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