運動よもやま話8
- 朝野裕一
- 2017年8月20日
- 読了時間: 3分
ベルンシュタインさんが提起した協同収縮系って何のことでしょうか?
もう少し詳しく書きますと、参考図書から引用すれば、一つ一つの筋肉
が文字であるとすれば、単語が協同収縮系で、文章が運動(活動)自体
となります。そう考えましょう。

さしずめ、書籍は一連の行為・行動ということになるのでしょうか?
一つの概念を表す単語が協同収縮系と考えると確かにスッキリします。
単語はその文脈においては実は色々な意味合いを持つある程度の自由度
、冗長性を持っています。
同じ単語を使うにもどの文脈で使われたかで微妙に意味合いが異なる。
筋肉の協同収縮系も同じと考えられます。同じ筋群を使用していても、
現れる運動(活動)は同じとは限りません。また同じ意味を色々な言葉
(筋肉)で表現できます。
この協同収縮系を発展させて考えた一人に、ラタッシュ(Latash)という
人がいます。.この人も実はロシア人なんですね。西欧・米とは異なる
発想を時に東欧(特にロシア)の人が提起するのは面白いと思います。
発想がどこか違うんでしょうね。
それはさておき、
ベルンシュタインさんの話に戻りますが、もう一つの前提として、
彼は、人の動きを一つの機械系(機械そのものではありません)
として捉えたということです。
機械系=システムと考えてもいいでしょう。その意味するところは、
質量を持ち重力や慣性力などの外部からの力と、内部からの力によって
支配されているのがヒトの身体で、外部からの力と身体の様々な条件
(姿勢や速度など)の相互作用によって、色々な運動が発現すると考え
ました。
その考え方が発展して、自己組織化という概念がヒトの身体運動にも
存在することが示唆されました。ここでまた参考図書から引用します。
ヒトの心臓の動きを考えてみます。数多くの心筋という筋肉が一斉に、
心臓を収縮するという一つの大きな動きを形成しています。これは、
半ばオートマチック(自律的)に行われる動きですが、その動きを必ず
しも脳をはじめとする中枢部が制御しているわけではありません。
たくさん動かそうと意図して働いているわけではないという意味です。
自律神経の影響で動きの速さや強さは変わります。
このような自律的な組織的動きを、自己組織化の一つの現れと解釈する
ことができます。なんだか話がややこしくなりましたか?
また次回、この自己組織化あるいは非線形性(前にも書きましたね)の
お話を続けたいと思います。
今日も読んでいただきありがとうございました。この一連の話は10話
で終わらせようと思っています。
しばしお付き合いをお願いします。また明日。
参考図書)
「モーターコントロール」第4版〜研究室から臨床実践へ〜
(Anne Shumway-Cook, Marjorie H. Woollacott・著、田中繁・高橋明
監訳、医歯薬出版、2013年.)
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