• 朝野裕一

運動発達の情緒的側面

今回は、運動発達の情緒的な側面=情緒的発達についてお話しします。

情緒的発達というのは、自分が行動し、他者と相互に影響し合い、自分

自身や他者にうまく反応する能力を高めるように学習することです。

子どもが自分の周りの世界をコントロールできるものと見るか、自分を

他からコントロールされるものと見るかは、親や教師を含めた他者との 関係の良し悪しや、文化的な環境の貧富、刺激の量と質などによって決

められると言われています。

子どもの運動経験は、自分をどんな人間だと思うか、仲間とどのような

関係を持つか、自分の自由な時間をどう過ごすか、などについてとても

重要な 役割を果たしています。

親や教師は、バランスのとれた社会的・情緒的発達が子どもにとって

非常に重要であることを、知るべき立場にあります。

親や教師その他の大人たちには、子どもの情緒的な発達を理解し、自尊

心を高め、積極的な社会化を促進し、情緒的・社会的発達を強化するよ

うな運動経験を提供する必要があります。

情緒的な側面は、主に二つの要素が考えられます。

一つは、自己概念の向上です。

自己概念とは、身体的・認知的・社会的な立場においての自分の有能さ

についての知覚のことを指します。

子どもは、本来活発で、エネルギッシュであり、運動や遊びを通じて、

自分自身や自分の身体について学んでいきます。自己概念は子どもの時

に形成され始めます。

その反面、しばしば子ども時代は、「良いか、悪いか」の二極的なもの

の見方をしがちで、自己中心的で自分の長所や短所を、客観的に見つめ

ることができていません。自分の能力の限界がどこにあるか、わからな

い子どももいます。

子どもたちは、遊びや活発な活動から成功経験を導き、積極的な自己の

概念を形成していきます。

このような肯定的な自己概念の要素は、所属、有能感、自分らしさ、

自己受容、長所などからなります。

もう一つは、積極的社会化です。

体育やレクリエーション、スポーツそれに遊びも含まれると思いますが

、それらの場面で、フェアプレー、協力的行為、スポーツマンシップ、

などを学びます。

身体活動へ参加することで、子どもに競争と協力について判断する機会

を与えます。

また、

身体活動によって望ましい道徳的行動、正直であること、チームワーク

、自己コントロール、フェアプレーの精神などを学んでいきます。

教師などがうまく環境設定を遊びなどを通して設定してあげると、他人

の立場を考えることや、仲間と共通の目的に向かって、進んで協力的な

行動をすることを可能にします。

積極的社会化の要素は、集団・親和性、社会的態度の形成、性格教育、

道徳的発達などからなります。

確かに自分を振り返って思っても、遊びの中のルールづくりや、友達と

の協力などによって、楽しくもなりつまらなくもなり、などという体験

は、その一つや二つみなさんにもあることと思います。

単なる身体の動きを学ぶということ以上に、自分の身体感覚と、周りの

環境と自分の身体との関係などを通じて、認知だけではなく情緒の側面

でも発達促されるのだなぁと、改めて感じさせられました。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。

(参考/引用図書:「幼少年期の体育 発達的視点からのアプローチ」

デビッド・L・ガラヒュー 著、杉本隆 監訳、大修館書店、1999年)