座り方/立ち方 総括
引き続き、座り方とその後の立ち方に関する総括を。
<座り方/立ち上がり方は様々な状況によって変わってくる>
(椅子の場合)
ー座っている人の姿勢ー
座り方は、椅子の条件以外にもその人の座り方次第で変わってきます。
●座っている人の気分・・・落ち込んでいる時、リラックスしている時
、緊張している時などなど、あらゆる場面で人はその姿勢(座ること
も含めて)が変化します。
気分の落ち込んでいる時は、うなだれて上体全体を屈め、前に倒す姿勢
が典型的です。
リラックスしている時は、背もたれ(があれば)に寄りかかり、骨盤は
比較的後ろに傾いているでしょう。
緊張している時は、体をまっすぐにして(骨盤も比較的立って)、
正面を見据える姿勢になるでしょう。背もたれにはもたれません。
=ここでちょっとおさらい=
骨盤が立っている寝ている、前に傾く後ろに傾くとはどういう状態
でしょうか?
この図の左側が、骨盤が比較的立っている状態(前傾)、
右側が、骨盤が寝ている状態(後傾)です。
●その人が置かれている状況・・・何かを意識的に行なっている時、
周囲の状況によって人の姿勢は変わります。
例えば本やスマホなどを、一心不乱に読んで/見ている時などは、下を
向いた比較的前のめりの姿勢が想像されます。ちょっと背中が丸まった
姿勢になりやすいですね。
また、
礼儀正しくする/しなければならない時、先ほどの緊張した時と同じ
ような姿勢を取るでしょう。
置かれている状況と、その時の人の気分は、お互いに関連しているとも
言えますね。だから、姿勢の変化にどちらも相互に関係してきます。
●元々のその人の姿勢・・・によって座り方は自ずと変わります。
背筋が伸びた、いわゆる良い姿勢の人は立っている時同様、あまり
極端に背中を丸めた姿勢では座らないかもしれません。もちろん、
先ほどのように気分や状況次第で変えることができます。もし身体を曲
げる動きに制限がなければですが。
一方で、背中が丸まってしまい、伸ばす動きに制限が生じている人は、
どうしても上の右側のような座り方になってしまいます。
<座り方と立ち上がり方は初期の姿勢以外に立つ速さ、立った後の状況
によっても変わってくる>
ここまで座り方(が立ち方に影響を与えること)について、それに関係
する条件を挙げてきました。
他にも立ち上がり方に影響を与える要因として、立つ時のスピード、
立った後(何をするかしないのか)の状況が挙げられます。
これはややこしくて、立つ速度はその必要性が何かあってのことなので
ここも相互に関連してきます。いわば入れ子状態になっています。
●立つ速度・・・これは前回既に述べたのですが、なぜ急いで立たねば
ならないか?それは立った後の用件次第でもあります。
電話が鳴って急いで立つ、前回も書きました。日常生活ではいくらでも
急いで立つ場面がありそうです。何かをしていて湯が沸いて火を止めに
とか、家で転んで泣いている子どもを見に、とか。
逆にゆっくりと立つ場合も、お年寄りでそもそも速く立てない人、
時間に(心にも)余裕があって、急いで立つ必要がない、など。
急いで立つ時は、立った後その姿勢をしばらく保つ余裕などありません
から、すぐさま歩き出す(走り出すこともある)でしょう。
ゆっくりと立つ時は、立った後少しその姿勢を保持する時間があるかも
しれません。
●立った後の条件・・・これはもう速度のことと完全に入れ子状です。
座っているところから人が立つのは、その後に何か用事が控えている
からでしょう。
用事といっても色々で、大した用事がなくとも座りっぱなしではいない
でしょうから。
その用事が緊急を要すれば急いで立つし、特に急ぐ必要がなければ、
ゆっくりと(マイペースで)立つでしょう。
<座り方/立ち上がり方は複層的な条件によって様々な様相を呈する>
結論として人の座り方は、
●椅子の形状によって影響される
●人の気分によっても影響される
●置かれた状況によっても変わる
●元々の姿勢によって変わる
立ち上がり方は、
●立つ前の座り方(姿勢)に影響を受ける
ということは、
●気分によっても影響されるし
●置かれた状況によっても変わるし
●元々の姿勢によって変わります
さらに、人が置かれた状況が、
●座り方に影響を与え
●立ち上がり方にも影響を与えます
それはその時の気分とも関係します
ということで、
互いの条件が複層的に影響を与え合って、座り方と立ち上がり方を決め
ていることになります。
そして、
人はそれらを状況に応じて自由に選択できる時、自由度を持つ時、
いわゆる正常な運動/動作を行うことができるということになります。
何らかの障がい的なものを持っている方ほど、その自由度が制限され、
ある決まったパターン化した動きしかできなくなります。
また、
立ち上がり動作の過程は、その後の立った状態のバランス(立位を
保つ;静的バランス、立ってから次に動く;動的バランスなど)
を想定して、あらかじめ次の姿勢や動作の準備をする(予測制御的に)
必要があるだろうということです。
運動指導に携わる人はその点をよく鑑みて、相手に適切な一連の目的を
持った動き(動作;仕事=task )として、立ち上がり動作の練習を
する必要があるでしょう。
何か言葉足らずで、まだまだまとめて整理しなければならないのですが
一旦座り方についてはこのくらいにします。何気なく考えていた座る/
立つ動作が、考えるほどに奥が深いことに気づかされました。
今日も読んでいただきありがとうございました。ではまた明日。