• 朝野裕一

踏む力

人は立っている時、床(地面)を踏んでいます。その踏む力に対する

反作用として床(地面)反力が働くことをお話ししました。

もう一度お示ししますね。

上の図のように、立っている時(ここでは左右均等に体重がかかって

いると仮定します)、重力の影響で床を押す力が両足からそれぞれ

働き、その反作用としての床反力を(赤い矢印で)示しています。

そしてこの場合二つの(左右から)床反力の作用する点をそれぞれ、

足圧中心、二つの床反力の合力を黄色の矢印で表していいます。

赤丸は重心の位置です。

※ややこしいですが、二つの足圧中心の真ん中(力が同じ場合)を、

圧力中心としました=床反力の合力が働く点※

さて、

足を踏んづけた時そこに体重がかかっているのですが、勘違いしやすい

というか、言葉の解釈が混乱している場合もありますが、体重と重心

とは厳密にいうと異なります。

体重がかかっているからそこに重心があるとは限らないのです。

どういうこと!?

まずはこの図をご覧ください↓

真ん中の人図は、両足で立っている時の状態を示しています。

左側の人図は両足で立っていて、後ろに身体を持っていく(足は

そのままで)時の状態を示しています。赤丸は足圧中心、黒丸は重心

の位置を上から投影した点です。

後ろに傾けていくと倒れないように足圧中心が重心より先回りして、

重心を前に戻します。後ろに体重がかかるが、重心はその前にある

ということになります。

右の人図はその全く反対です。

前に傾けていくと、重心が前に移動するのですが、そのままだと前に

倒れるので、足圧中心が先回りして、重心を後ろに戻そうとします。

前に体重がかかっている時、すでに重心は後ろに移動しています。

重心の位置(正確にいうと重心の床への投影点)と足圧中心が必ずしも

一致しない、さらに足圧中心が重心の位置を制御している状態を

示しました。そしてこの足圧中心とは?床反力が働く点です

(あくまで力学的に) 。

立っている状態(いわゆる静的状態)でもこの様にして微妙に重心が

動いて倒れずにすんでいるわけです。別の図でもう一度示してみます。

上図をご覧ください。

足に似せて、簡略的に船底様の物体として表しました。

※注)あくまで足の部分だけの模型ですので、全身を考慮すると

重心の位置や床反力の働く向きも上図とは違ってきます※

一番左上が足を床に踏み込み始める時と思ってください。

赤矢印で表しているのが足と床面との接点で、ここに床反力が働くの

で足圧中心となります。前に押す力が床から働いています。そのため

物体は前に傾いていきます。黄色丸を物体の重心とします。

足圧中心と重心の位置(床への垂線を引いて、投影点を想像してみて

ください )は異なります。

真ん中は静止している時、この瞬間は足圧中心と重心の床への投影点

は一致します。

右下は物体が前に傾いたあと元に戻る瞬間を示しています。

青矢印の様に床反力が働けば、足はまた元に戻ろうとします。

これが連続して起きると、

起き上がりこぼしの様に行ったり来たりすることになります。

ちょっと歩いている時とは異なりますが、要は足圧中心と重心の床へ

の投影点は必ずしも一致しないということです。

難しいお話になったかもしれませんが、体重を乗せることと、重心を

置くことが混同されて運動指導されていることがあるため、ここは

厳密に定義した方が誤解がなくていいと思ったので、あえてお話を

してきました。

まだまだ話はありますが、今日はこのくらいにします。

ここまで読んでいただきありがとうございました。また明日。