踏み出す力
何事も一歩前に踏み出すには、それなりの力と勇気がいります。
ここでは終始、力学的な面をお話ししてきました。
今日もその続きです。
足を踏み出すということは、踏み出す足を浮かして前に出す動きを
伴います。つまり片足立ちになる瞬間があるわけです。
その時の足圧中心・床反力と重心の動きをもう一度みてみましょう。
図は、右片足立ち(左の足を浮かす)状態を示しています。
それを上から見るとこうなります。
右足で立つ=左足を浮かす直前に、浮かす左足側に一瞬体重が(両足
で立っている時よりも)多くかかる現象が起きている、それによって、
重心が片足で支える右側に移る、結果として右側に全体重が乗る。
その一連の事象の図式化です。
なかなか面倒なお話ですね。
そこで今回は、
もうちょっと 視覚的にわかりやすくお示ししようと試みました。
先ほどの図の説明と左右が逆で申し訳ありませんが、これは左片足立ち
までの経過を示す実測写真です。
左側は写真、右側は床反力計という器械の上での運動解析・分析結果
のスティック・ピクチャーと呼ばれているコンピュータ解析図です。
※床反力計:フォース・プレートと言って、床反力を実際に計測する
器械です※
両足で立っているのが上図です。
右側図の黄色い矢印が、床反力の向きと大きさを示しています。
この時点ですでにやや右足に体重が多くかかっているのがわかります。
ここから徐々に左片足立ちに向かいます。
上の写真を見ればおわかりの様に、まだ両足で立っていますが、この
時点で左足側に体重を移動しようとしています。
しかし、右のスティック・ピクチャーの丸で囲まれた矢印を見ると、
むしろ両足で立っていた時より大きな力が右足側に働いています。
そして、
その直後に左の方へ体重が移動していきます。
最終的に左片足立ちになります。
模式図で示した現象が、実際に測定された場面の説明でした。
いかがでしょうか?
そもそも何を言っているの?!
となるかもしれませんが、もう一度何度も言いますと、
「体重を移動する際に、移動する側にそのまま体重が移るのではなく
(イメージと異なり)、一瞬浮かす側の足に体重がかかり、その力に
よって支える側に重心が移動する」ということです。
今日はこのくらいにします。
ここまで読んでいただきありがとうございます。また明日。