• 朝野裕一

投げる子ども

子どもが物(ボール)を投げる時、その発達段階によって投げ方は

変化していきます。

今日はそれについてのお話です。

以前お話ししたように、運動の発達はあくまで個人差があり、

きっちりと何歳までにこれこれができてとか厳密には定められません。

とは言っても、

運動発達の時期や段階は、年齢が大まかな目安になります。

あくまで目安に過ぎない部分があり、だからと言って無制限に解釈

できるものでもなく、大まかな範囲(〇〇歳〜△△歳などの)で

示されることが多いです。

それを前提として、ボールを投げる動作についてみてみましょう。

物を手でつかむ(把握する)ことができるようになると、

それを腕を振ったりして遊んでいてつかみ損ねて放り出してしまう

場面などはよく見られる光景だと思います。

この段階ではまだ物を意識的に投げるという行為には至っていません。

しかし成長に伴い、わざと(好んで)物を投げて遊ぶということを

覚えていきます。

そしてだんだん狙いをつけて物を投げるという運動を覚えていきます。

特に上から投げる動作(オーバーハンドスロー)を覚えると、最初は

上図のように肩を少し上げて(上から投げるため)肘と手だけを使って

投げます。

目標に向かって立ち、投げるというよりは押し出すという感じで、

ボールを手放します。

次の段階は、上図のように足の動きが加わり、投げる手の側と同じ足を

前に踏み出した姿勢で 、肩をさらに高く上げた状態で放り投げる感じ

の動きになります。その際少し体幹部が投げる手の側へ上肢の動きに

伴い回旋します。

肘を伸ばすことでボールを前に押し出すのは同じですが、より上肢

(肩など)を大きく使い、足と体幹も投げる動きに合わせて動かすこと

を覚える段階です。

さらに高度に発達すると、投げる目標に身体(体幹部分)を横に向け、

体幹をひねりながら、肩を回していき、肘がボールよりも先行していき

ます。足は投げる側と反対側の足を前に踏み出していきます。

ここまでくると、かなり高度な投球動作ということになります。

一つ大事なことは、黙っていてもこのように皆が上手く投げられるよう

になるわけではなく、適切な指導や経験(試行錯誤を含む)のもとで、

より高度な投げ方を習得していくということです。

小さい時から多くの身体操作の体験を積むことは、より高度な動きの

習得に欠かせないことだと思います。もちろん個々の発達能力に応じ

たトライが必要だということに、変わりはありませんが。

ということで、今日のお話しはおしまいです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。ではまた明日。

(参考/引用図書:「幼少年期の体育 発達的視点からのアプローチ」

デビッド・L・ガラヒュー 著、杉本隆 監訳、大修館書店、1999年)