鎖と恊働(協同)
スクワットのお話が続きますが、
下肢三関節(股・膝・足)の連動性については前にも書きました。
これらの関節は密接に繋がりを持ち、互いに恊働的(協同的)に
働いてスクワットという動作を完結させます。
恊働(協同;著書により使う文字が異なりますが同じことを言って
います)=synergy(シナジー)と言われています。
この恊働作業はどこで管理されているのでしょうか?
運動制御の研究においては様々な理論が提示されてきましたが、
脳という完全なる中央制御室だけで行われているのではなさそう?
とは言えそうです。
いちいち全ての関節を微妙にコントロールするのは非効率的
というわけです。
運動はできるだけ個々の関節において自由度を持つ、という反面
共同(色々な字があってややこしいですね)で動くユニットとしての
作用も認められます。
簡単に言うとそれがシナジーということなのでしょう。
しかもそこには物理的・解剖学的な要素が加わります。
例えば立っていて膝を曲げると、太ももの骨(大腿骨)の先(膝)
が前に出ます。
すると、
自然に股関節はある程度曲げようと思わなくても曲がってきます。
それは関節(膝関節ー大腿骨ー股関節)というリンク構造になっている
からです。
いわば鎖で繋がれているような状態;チェーン(チェイン);です。
なので、こういう状態を運動連鎖=kinetic chainと呼んでいます。
チェーンと聞くと、
なにやら最近よく話題にのぼるのが、ブロックチェーンです。
個々のコンピュータ(パソコン)が協働で記録を保管する仕組み、
とい言っていいのかな?まだ不勉強で深くは分かっていないところも
ありますが・・・
何やら、ヒトの運動連鎖と協働作業にも相通ずるものがあるような...
チェーン繋がりで無理矢理かもしれませんが・・・
どちらも必ずしも中央管理者が存在しなくても成立つ仕組みです。
ブロックチェーンでもプライベートとパブリックがあって、
プライベート・ブロックチェーンでは、特定の管理者のもとでの
クローズド(closed)な閉じられた世界での運用だそうです。
対して、パブリック・ブロックチェーンがオープン(open)な、
管理者のいない世界でのこと。
(参考文献:「入門 ビットコインとブロックチェーン」
野口悠紀雄 著、PHPビジネス新書、2018.より)
closedとopenと言えば・・・
スクワットのような地面に足をつけた状態での運動連鎖を、
closed kinetic chainと呼び、足を振ってボールを蹴るなどの運動は、
open kinetic chainと呼ばれています。こじつけが?・・・
さてさて、
スクワットのようないくつかの関節の連動を要する運動(ほとんどの
日常生活動作はこれに当てはまります)は、行う方はいとも簡単に
できていますが、実はそれを成立させる仕組みは結構複雑(系)に
なっているようです。
自分などはそれだけでなんだか面白そう!と思ってしまうのですが、
皆さんはどうでしょうか?
もう少し、
連動性というか協働性というかについて明日以降も考えてみたいと
思います。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。