予防医学のパラドックスって知ってました?
高齢化社会で健康寿命を延ばすために必要なものは?
それはまず予防医学であり、健康産業の発展だろうなと、当たり前の
ように思ってはいましたが、
よくよく考えると、本当に現実として皆が健康や予防医学について
日常的に考えているのかというと、実は??だとも思っています。
××すると/しないと病気になりやすいですよとか、〇〇すると/しないと
体にいいですよ、などという言葉がたくさん世に広まっているし、
世の中に健康の重要さを喚起・啓蒙することは、しない時に比べて
ずーっと良いんだろうなと何となく感じもします。
しかし、
通常の生活の中で、優先的に自分の健康や生活の質(QOL)のことを
意識していることがどれだけあるだろうか?と疑問にも感じます。
むしろ、
なんらかの健康問題を抱えて初めて実感することなのかもしれません。
また、
それが悪いことで是非とも改善しなければならない!という気は実は
あまり自分にはなくて、むしろそれが現実なんだろうなと思っています
さて問題はそこからです。
それ(普段はあまり自分の体のことなど気にしていない)を前提として
初めて予防とか健康とか充実した生活を考えるには?と問い直してみた
ほうがいいと思っています。
健康に関する産業となるとついつい、先ほど書いたように、
〇〇がいいですよ〜といった言い方が多くなり;ビジネスなので
当たり前なのですが;結局流行り廃りのレベルで消費されていくだけに
なってしまう気がします。
では、
予防医学的にはどうなのか?
そこで知ったのが、“予防医学のパラドックス”という言葉です。
いまさら?と思う方もいるかもしれませんが、私は知りませんでした。
簡単にいうと、
病気などにかかる人数は圧倒的に健康と言われている人(健常者)が
多い、ということです。
なんのこと?例えば、
高血圧の人が脳出血などにかかる危険(リスク)は健常な人より高い
これは理解できますね。危険因子の一つが高血圧だからです。
でも実際に脳出血になる人数からいえば、圧倒的に健常者の方が多い。
えぇ?なんで〜。
実は単純な話で、高血圧と判断(診断)された人の数よりも、健常者
の方が人数的には圧倒的に多いからです。
ある疾患にかかる人数は、母数(元々の人数)×危険率
(リスクの程度)で表せるからです。
いくら高血圧のリスクが高くても、健常者の(母)数が圧倒的に多いと
そちらに引っ張られて患者数は、高血圧群<健常者となるからです。
そのことが分かってからは、
予防医学的には今までハイリスクに対するアプローチをすべきという
ハイリスク戦略から、人数の多い健常者むけポピュレーション戦略へと
シフトしていったということです。
大きな戦略転換だったんですね。
確かにあるリスクを持っている人を治療しながらそれ以上悪くしない
というにはそれなりの医療費がかかりますが、その前なんでもない時に
予防しようという方が、コスト的にも有効と考えられます。
結構冷めた視点というか、真のエビデンス的視点を持つのが、予防医学
なんだなぁと改めて知りました。
そこで最初に書いた、健康に関する例えば運動に対する意識はそんなに
高いともいえないのでは?というやや冷めた指摘をしたわけです。
この件は明日以降にもう少し掘り下げてみたいと思います。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。
(★参考図書「これからの教養 激変する世界を生き抜く知の11講〜
3 これからの健康ー石川善樹〜、菅付雅信・著、Dsicover、2018.)