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朝野裕一

二つの関節を跨ぐ筋肉〜二関節筋:第七話

二関節筋の役割は果たしてどこにあるのか?何なのか?

特にヒトの動きに興味がない方にはどうでもいいことかもしれません。

しかし、

我々が普段何も考えずに行う何気ない動きの中に、実は色々仕組みが

あって、それを制御する脳を含むシステムには、人の好奇心をそそる

要素がたくさんあると思っています

一見関係ないようなことが日常の中に潜んでいる、そのこと自体を

興味を持って見ることができたら、運動に対するある種のハードルが

下がるのではないかなと思います。

運動自体を得意として行うだけではなく、不得意でも面白いから関わろ

うという、様々なアプローチができればいいなと思っています。

さて前置きはこれくらいにして、

スクワットにおける二関節筋の機能=役割・働きについてもう少し

考えてみます。

昨日の第六話で書いたように、

大腿直筋やハムストリングスは、スクワットという運動の中で矛盾した

働きをしながら、一体どういう役割を担っているのだろう?

一つ言われているのは、

複合運動が起こる方向性を規定しているのではないかというものです。

複合運動って?ここでは二つ以上の関節が連動して動く運動とします。

その動く方向を決めているのが二関節筋の一つの大きな役割ではないか

と考えられているということです。

例えば、空手の突きの動きなど。

手をまっすぐ前に突き出す動きでは、手の軌道が直線的になっています

が、関わる主な関節は肩関節・肘関節の二関節です。

そこにも当然に関節筋が関わっており、手の動く軌跡を決めるのが

二関節筋というわけです。

このようなリンク機構あるいはパンタグラフ様の物が動く様なイメージ

でスクワットを見ることも可能です

厳密にいうとスクワットでは重心の動きなどは必ずしも直線的ではない

のですが、近似した動きと捉えることも可能です↓

下の図のパンタグラフ用の動きの場合、中心部が下へ真っ直ぐ動いて

います。それが動く方向性です。

スクワットの場合、股関節と膝関節以外の部分も関係しているので、

全く同じにはなりませんが、膝を折りたたむ動きと簡略化して捉えると

その重心の動く方向をある程度規定する役割が、二関節筋にはあると

考えることができます。

※重心の移動軌跡よりも床を押す力の方向と考えたほうがいいのかも

しれません※

実際に工学的な分析をしようとするとなかなか複雑な分析と計算を

伴うようなのでここでは説明できませんが直感的にはそうなのかな?

と思えます。

そもそも、

単純に一つの関節だけを動かす筋肉だけでは、複合的な関節の動きを

規定することは難しいということですね。

その辺のところはこれからまた説明していこうと思っています。

★参考図書:「ニ関節筋 運動制御とリハビリテーション」

熊本水賴 他・著、医学書院、2008.

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。

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