人が速く動くことについて考えてみた:第十話
昨日、カッティング動作についてお話ししました。
実は同じカッティング動作でも大まかに二種類あります。
今日はそれについてお話しします。
まず一般的にイメージするのは、“サイドステップ・カッティング”
というものです。
そうですね〜。野球が好きな方は、盗塁をしようとしているランナー
をイメージすると、わかりやすいかもしれません。
一塁にいるランナーは果たして、
どちらの足からスタートするでしょうか?
それによってダッシュする際の動きは変わってきます。
ちょうどカッティング動作と同じ動きになります。
さて、
サイドステップ・カッティングからでしたね。

とても下手くそな絵で申し訳ないのですが、上図をご覧ください↑
左が盗塁前の状態だと思ってください(上肢は省略しています)。
右側の絵は、左の足から上げて右へと走り出す状態です。
これがサイドステップ・カッティングです。
重心を(この場合)右へと移す際には、一瞬左側の足で地面を押す作用
がおきます。これは動き出しの重心移動では、どんな時も同じです。
その点は、すでに「踏み出す力」でお話ししました。
サイドステップ・カッティングでは、重心が移動する側の足を浮かして
(この場合)右へと走り出します。
それに対して、
クロス(オーバー)・カッティングの場合、地面を押す左側の足を
その地面反力を利用して浮かせて、右足とクロスさせるようにしながら
そのまま右へ走り出します↓

本当に絵が下手で申し訳ありません
さて、
いったいどちらの方が速く走り出せるでしょうか?実際には個人差
などありなんとも言えないのですが、同じ人ならば理論的には、
クロス・カッティングの方が理にかなった素早い動きを実現できる
と考えます。
何故なら先ほども言ったように、
一旦左側の地面を押す作用が必ず起きるので(右へ重心を移動させる
ならば)、 それを利用してそのまま左側を(右脚に)クロスさせて、
浮かせて動き出す方が効率的に見えます。
イチローなど脚の速い選手がどちらの足を浮かせて盗塁をするか、
見ていただくとわかると思います。
ただし、
このクロス・カッティングで注意しなければならないのが、反対側の
膝を捻る危険性です。
体の向きを正面から走り出す方向へ変える、その瞬間対側の足が浮き
クロスさせる際に、支持している膝が捻られる力が働きます。
そのため、
このクロス・カッティング動作はよく練習しておかなければなりません
膝の前十字靭帯の再建術後のリハビリでも、競技復帰へ向けての重要な
練習に組み込まれてきます。
必要以上に長く膝が正面を向いていると捻りの力が膝を痛める可能性が
高まるので、その前に(足の向きの)方向を変える動作と一緒に一連の
動作として、身につけておく必要があります。
素早く動くには、
身のこなし方・動作の仕方なども関係しているのです。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。