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朝野裕一

人が速く動くことについて考えてみた:第十五話

前回素早く身を交わすなどのカラダの動きが、実は日常的にも

エレベーターを降りるときの動作などに現れているということを

お話ししました。

またそれは、素早くカラダを動かす武道の身のこなしなどにも使われて

いるということも書きました。

そして、

カラダを捻らずにそのまま前に進めていく動きが、速い動きを形作って

いるということも。

とはいえ、

カラダを捻ることは歩いてる時自然と行われている動きの一つです↓

歩いているところを上から見た図ですが、上半身と骨盤以下の下半身が

捻りの動きをみせ、手足の振りが左右反対になっています。

この捻りの要素が次に反対側への捻りの動きを引き出し、この繰り返し

が結果的にあまり努力をせずに効率的で連続的な動作を 生み出している

と言われています。

これはとても自然な動きで我々も普段意識などせずに、手足を交互に

(左手と右足、右手と左足といったように)出して歩いています。

時々緊張のあまり、

手足同時に同じ側を出して歩いてしまうなんていうこともありますが。

しかし、

この歩き方(手足同じ側を出して歩く)は実は昔の日本人が普段から

そう歩いていたという話があります。ナンバ歩きというものです。

これも上から見た図ですが、

左手と左足、同じ側を同時に出して進んでいます。

さらには、

手をあまり振らずに(ということは体の捻りが少ない)走るナンバ走り

と言われるものもあります。

いっとき、

陸上短距離の末續選手が、それを行なっていましたね。

考えてみると、昔のお侍さんは腰に刀を差しており、走り出すとき

手を大きく振っていては刀が邪魔になります。

また、

飛脚や駕籠(かご)など物を担いで走る人や人力車を引っ張る人などは

手を振って走ることはできません。

ということは、

少なくともあまり手を振らずに走ること=ナンバ走りは、日常的な動き

だったのかもしれません。

末續選手などは、当時日本人の体にあった速い走り方の代表として、

大きな話題になりました。

というわけで、

カラダを捻らずに動くということは、時に素早い動きを引き出すのに

役に立っているんですね。

スポーツの場面でもしばしばこの動きは認められますが、

その話は次回に。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。

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