top of page
朝野裕一

筋力についてもう一度しっかりと考えてみよう!:その8

昨日お話しした末梢性疲労と中枢性疲労についての概略図が次の図です

さて、

今日は随意的な筋収縮以外の筋の収縮度合い=緊張度合いを調節する

機構のお話をしようと思います。

この赤い部分で囲われた部分ですね。

筋肉にはその緊張度合い(張り具合)を調節する筋紡錘というセンサーが存在しています。

今例えば肘を曲げようと意識した時、上腕二頭筋という筋肉を収縮させようとします。これは大脳皮質からの指令による随意運動です。

しかし、上腕三頭筋という肘を(逆に)伸ばす筋肉がもし収縮してしまったら、肘は思うように曲がってきませんね。

ですから、この上腕三頭筋を緩める信号が必要になってきます。これは意識せずとも、筋紡錘から発せられて肘を曲げる動き

を邪魔する筋肉が収縮しないように調節されているわけです。

一方で、

筋肉の先には腱というそれ自体は収縮作用を持たない筋肉より硬い組織

が骨の付着部の部分に存在しています。アキレス腱が有名ですね。

この腱の中にも腱紡錘というセンサーが存在しています。

先ほどの肘の話を例に出すと、

手に錘(おもり)を持って肘を曲げる、これは肘を曲げる筋肉である

上腕二頭筋には求心性収縮(収縮しながら筋肉縮んで行く)と呼ばれる

収縮様式が起きています。

そのまま今度はゆっくりと肘を伸ばして行くとどうなるでしょうか?

ゆっくりとと言うのがミソなんですが、上腕二頭筋は収縮しながら徐々

にその長さを伸ばしていきます。この収縮を遠心性収縮と呼びます。

さて、

ではあまりにも重い負荷で急激に肘が伸ばされてしまったら・・・

どうでしょう?

肘の関節や上腕二頭筋自体が損傷を受ける可能性がありますよね。

なぜなら、遠心性の収縮をしているにも関わらず、筋肉自体は急激に

引っ張られるわけですから。

それを防ぐ機構として、腱紡錘があるんですね。

腱紡錘から上腕二頭筋に収縮を緩める信号が伝達されて、筋肉の断裂

などの損傷を未然に防ぐようになっているわけです。

また、

筋肉が収縮していないところに急激な伸長刺激(伸ばそうとする

機械的な刺激)が働くと、今度は関節が痛まないように防御するため、

筋肉の収縮で防ごうとする反射的な収縮が起きることもあります。

(伸長反射に伴う筋収縮です)

なので、

ストレッチをするときなぜ反動をつけないように行うかは、この理由

からわかるかと思います。せっかく伸ばしたい筋肉が急激な反動で伸ば

されると収縮してしまい、ストレッチ効果を期待できないからです。

何れにしても、

筋紡錘・腱紡錘と言うセンサーからの信号(情報)は、脊髄を介して

直接筋肉にフィードバックされて行くので、大脳皮質などの中枢神経は

関与していません。

そうでないと、必要とされる対応が間に合わないからです。

今日は、

筋の収縮とそれに伴って発揮される力=筋力の不随意的な機構の一つ

筋紡錘・腱紡錘のお話でした。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。

閲覧数:10回0件のコメント
bottom of page