関節の可動域を適度に制限するもの
大谷選手は右肘の内側側副靱帯の損傷でとりあえず10日間のDL
(故障者リスト)入りになってしまいました。
これからさらなる活躍が期待できる!と思っていた矢先のことなので
とても残念です。
でもまだまだこれからの選手なので、しっかりと治療をしてもらいたい
なとも思います。
さてこの肘の側副靱帯ってなんでしょう?
肘にはその内側と外側にそれぞれ靱帯が付いています。
内側とは肘を伸ばして手のひらを上に向けたときの小指側です。
外側はその反対側。
肘の内側側副靱帯は、野球の投手でよく傷める部位でもありますね。
ヤンキースの田中投手やカブスのダルビッシュ投手も損傷しました。
田中投手は今回大谷選手が行なったPRP注射という治療を選択しました
※PRP注射:自己の血小板を大量に含んだ血漿を取り出して患部に注入
し、自己治癒力を利用して再生を図る方法※
ダルビッシュ投手は、トミー・ジョン手術という靱帯再建術を受け復帰
まで1年以上の期間を要しました。
※靱帯の損傷程度は3段階に分けられていて、1度は緩みの違和感を
伴う程度、2度は今回の大谷選手の状態で靱帯の部分断裂を伴うもの、
3度は完全に断裂して肘の不安定性が最大になってしまうものです※
程度が悪ければ手術しなければならないのですが、2度は微妙なところ
で、今回はまずはPRP注射で対応を取ったということなのでしょう。
肘はまっすぐ伸ばしていただけるとわかるのですが、カチッと固定され
本当にわずかな(内外側方向の)遊びがあるだけです。
そうでないと肘を伸ばして何かを持ったり体を支えたりするときや
肘を曲げ伸ばしする運動の際に肘がグラグラしてしまい、その機能を
果たせなくなります。
そのために、内側と外側に補強役としての靱帯が付いているのですね。
肘を安定して曲げ伸ばしする可動性を保証するための組織です。
わずかな遊びと安定を補強する組織が、痛みなく不安定さを感じない
関節の可動域と可動性を確保する条件です。
可動域は制限されると動きにも支障が生じますが、一方で関節の動く
方向によっては大き過ぎると不安定性が増長されてしまい、やはり動き
に問題が起きてしまいます。
兎にも角にも、大谷選手の損傷が軽度であることを祈りつつ、しっかり
と治して、再び素晴らしい活躍をすることを願っています。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。