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朝野裕一

歩いている時足の位置を意識しますか?〜運動の冗長性・自由度について

みんさんは歩いている時、あるいは走っている時に足の位置をどこに

置いて、どれだけの力でどの方向に踏んづけて・・・とか

気にしていますか?

きっと気にしている方・ことはほとんどないでしょう。

あるとすれば、そこに水たまりがあるとか何か障害物があるのでそれら

を避ける時くらいでしょうか?

手を使う時でも構いません。

テーブルの上にあるコップを手に取る時、どういう軌道でそこに到達

させるか、考えているでしょうか?

おそらく考えている人・ケースはほとんどないと思います。

足が地面に着く/地面を踏んづける時の、足の位置・方向(軌道)や

力の入れ方、手がものを掴む際の手が描くものまでの軌道などは、

ほぼ無限にあると思います。

考えているとしたら(それもほとんど意識していないレベルでしょうが

・・・)、歩いて進むこと、あるいはものを掴むことだけでしょう。

無限にある軌道をプログラムでいちいち制御することはとても無駄な

作業だからです。

これがロボットだとしたらでどうでしょう。同じ軌道をを取るための

プログラムに沿って、ロボットアームや足の位置は毎回同じ軌道を取る

ことになります。

少なくとも、今までの単純なモデルではそうでした。

その欠点としては途中に障害物などがあるときに、それに適合した動き

を再現できない(あらかじめプログラムされていないので)ということ

でした。

今はもっとロボティクスが発達しているので、障害物などの存在を認識

して(センサーなどで)、それを避ける動きもプログラムすることが

できるでしょう。

しかし、人間はそんなことを意識するまでもなく、難なく障害物を避け

たり超えたりして、目的の運動を継続することができます。

この繰り返しは運動は、半ば自動的に組み込まれたプログラムのように

自由度を持って/冗長性のあるかたちで再現できます。

冗長性あるいは自由度(運動の場合そう呼ぶことが多いです)はいわば

曖昧さといってもいいでしょう。

きっちりとプログラムで同じ動きを再現する必要がない、比較的曖昧な

動きで目的動作を達成させるようにヒトの動きは制御されています。

ただし、目的動作をより効率よく最適なかたちで行おうとするには、

その動作や似た動作の繰り返しの練習が必要でもあります。

それによって、様々な外的条件が変化する場合でも、臨機応変に対応

できるようになるからです。

それを運動学習と呼んでいます。

サッカー選手が空中にあるボールを蹴ってゴールを狙う時、野球の

バッターが色々な球種の来る中で、あるボールの位置をバットで叩く時

など、瞬時に捉えなければならない目的動作(ゴールを入れる・ボール

を打ってヒットやホームランにする)を果たすには、繰り返しの練習が

必要ということです。

翻って、歩く時(走る時)はどうでしょうか?いちいちそんなこと考え

ていられない、と思うでしょう。

でも、ちょっと考え直してみてください。より効率的に歩く・走るは

日頃の全身運動とかマラソンで良いタイムを出すためとかの目的を持

って取り組んでみると、運動練習の一つとして考えることが

できるかもしれません。

特に走る場合などは、マラソンレースのタイム短縮だけではなく、

足や膝などを傷めずに走るにはどうしたらいいか、と考えて走り方の

工夫を要する場合などに、必要なことかもしれません。

日頃そんなことは考えもしなかったような、地面をどう踏んだら楽に

歩けるのか?とか速く歩けるだろうか?など考えながら地面を踏んで

歩いてみてもいいかもしれません。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。

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