- 朝野裕一
動かなくても運動?!
運動とはまさしく動くことを意味します。何を当たり前のことを!
と言われそうですが、まずは読み進めてみてください。
関節が動く範囲=関節可動域が、運動を行う際の必要条件です。
それを自由自在に動かすことのできるのが可動性(とここでは定義し
ます)です。そしてさらにパワーアップした力を発揮するための筋力。
身体の動く部分=関節が動くために必要な条件がこれらです。
さて、
関節を自在に動かすことで人は様々な動きを体現することが出来ます。
逆にこれらの動きを意図的に止めて身体をあるポジションで固定する
こともできます。
身体を動かす時にはその目的によって、ある部分は非常に柔軟に動かす
必要があると同時に、その他の部分は固定されていなければなりません
そうでないと、グニャグニャ状態で目的とする動き=パフォーマンス
を達成できません。
つまり、
人が動く時には動く部分と動かない(動かさない)部分が出てくること
になります。
もうちょっと身体の動きを、全体的に見てみましょう。
そうですね、例えば太極拳を考えてみましょう。
非常にゆっくりとした動きあるいは、身体を止めた状態が必要なパフォ
ーマンスです。
人がある一定の姿勢を保持するには、関節の動きを止める必要があり、
それを可能にするためには、固定=保持を成す筋肉の働きが必須です。
そして、バランス能力(静的)が求められます。
動いていないけれども、とても大きな内的エネルギーを要します。
結果として運動したように汗を流し、疲労します。
動いていないけれども運動をしたと同じ労力が要ることになります。
別の話をしてみましょう。
武道や能の舞などの日本古来からの動きに関してです。
特に体幹部分に着目してみると、これらの動きにでは、ワザと体幹を
固定させて、身をかわしたり(武道の場合)進んだり動いたりします。
武道の場合は、敵との対峙を想定した場合身体を捻ったりする分時間が
かかるので、それを省いて体幹を固定させて身をかわした方が早く身体
を動かすことができるからです。
能の場合は、幽霊・亡霊が動くことを想定したとのことで、生きている
人間の自然な・柔軟な動きをワザとやめて、状態を固定して膝から下で
まるで滑るように動き・進みます。
まさしく亡霊用の動き?と言われればなるほど!と思います。
この様に、
身体を固定して動くということも場合によっては・必要に応じてある
ということが分かります。
どうでしょうか?
動いていない、ワザと動かさない=固定する、姿勢を保持するという
ことは実際にあるし、それは日常でも認めることができるのではない
でしょうか?
その際に多くの(保持するための)エネルギーを必要とする。
ということは、必ずしも動いていない・動きが激しくなくても、運動
している時に匹敵するエネルギー消費ができることになります。
どのくらいのエネルギー消費か、までは調べていないので一概に黙って
立つ姿勢を保持すればいいんですか?と言われそうですが、そういう訳
では決してありません。
ある目的を持って、バランス能力も要する様な姿勢を保持することに
よって達成できることです。
でも、
運動とは広く解釈すれば、動いて要ることだけではなく、意図的に動き
を止めている場合なども、その範疇に入れることができそうですね。
太極拳などは結構なエネルギー消費を必要とする気がします。試しに
やってみてはどうでしょう。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。