• 朝野裕一

身体運動の必要条件・十分条件

身体が動く・身体を動かすために必要な条件は色々あると思います。

関節の可動域然り、筋力然り、神経活動然り、バランス能力然りその他

にもまだまだあるでしょう。

これらの条件を満たすと身体は思うように動くでしょうか?

そうであれば俺らの条件は必要条件であり十分条件でもある。

十分条件とは、それが満たされれば身体運動に十分であるという条件の

ことです。

各条件を別々に鍛えれば、自ずと身体運動は思うように制御できるで

しょうか?

そういう考え方を要素還元主義と言います。

一度要素に分解しても、それぞれのつながり・関係性は変わらずに

いつでも再現できるという考え方が、要素還元主義の根底にあります。

しかし、

実態はそう簡単にはいきません。

一旦バラバラにして元どおりに再現できるとは限らないんですね。

もちろん各要素を分析することに意味がないわけではなく、むしろ必要

なことだと思います。

しかし、

ヒトの身体運動を考えるとき、各要素をただ目的もなく鍛えればいいと

いうことにはならないんですね。

ここで言う目的というのが重要になってきます。どういう動きを何の

ために行うか?

このことを無視して可動域が・筋力が低下しているからといって、

闇雲にそれを鍛えればいいわけではありません。

例えば卓球の選手で素早く動いて相手の配給に反応し強い球を打ち込む

能力を高めたいと思ったら・・・

上肢の筋トレをして強いスウィングを身につけようとするでしょうか?

もちろん筋トレの結果素早いスウィングが達成でいたとしましょう。

しかし本来の課題とトレーニングの目的は、素早く動くことでした。

そのためには上肢よりもむしろ下肢と体幹のパワーアップを必要とする

でしょう。

もしかしたら、動体視力や反応速度を高めるトレーニングも必要かも

しれません。

もしも上肢筋力が弱かったとしても、すぐにそれを鍛えましょうとは

ならないわけですね。

目的が異なるからです。

さらに、下肢と体幹のパワーアップをしたとしても、それが卓球という

競技場面で発揮されなければ、何にもなりません。

ある部位の可動域や筋力の低下が決定的にその動作を妨げていると判断

されて初めて、可動域や筋力などの練習を積極的・集中的に行うという

ことになります。

関節の可動域は運動を行うベースではあります。

そしてそれを筋肉の働きで自分で思うように動かすことができること。

さらに、

ある状況では強い力あるいは早い反応で筋出力を発揮する必要がある

かもしれません。

全ては筋肉の力を発揮するにも、コントロールが必要になってきます。

力の発揮具合や収縮速度などを状況に応じて自由に変えることができる

ことが必要になってきます。

そのための感覚入力も必要になってきます。

動きの修正を、感覚入力からフィードバックして修正するわけです。

バランス能力にしても、その制御には細かい筋肉の収縮能力が必要に

なってきます。もちろん感覚からの入力信号も必要です。

目を閉じて片足立ちになってみればその感じがすぐにわかると思います

目を開いている時に比べて、バランス保持が困難になってきます。

視覚からの入力が遮断されることで、バランス修正能力が低下するから

です。

要素還元主義的に、単に低下しているところを改善すれば良し!とは

ならないのです。

ある要素が低下しているという情報はもちろん、その原因やそれが動き

に果たす役割などを考える時にとても役立つ情報です。

でも、ストレートに低下即トレーニングとはなりません。

身体運動というある構造がある時に、それをどの視点から見るかと

考えてみると、少しわかりやすいのではないかと思います。

構造は崩さずにそれをぐるぐる見回して、どの要素に今スポットライト

を当てているか?を常に意識して動きを観察・分析するということです

そう考えると、

ある構造;ここでは身体運動を考えています;の中の要素が十分に働く

条件ということを常に考えている必要が出てきます。

要素それぞれはあくまで必要条件に過ぎません。それを動きに十分な

条件として構築する時に、動きの自由度とそのコントロールという

考え方が必要になるでしょう。

なんだか小難しいお話になってしまいましたが、動きの指導やトレー

ニングのアドバイスをする時に、とかく陥りやすいことなので、

確認しておきました。

様々に変化する環境の中で、いかに自由度を持って適応した動きを

自分のコントロール下で発現できるか?が身体運動の真髄だと思います

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。