• 朝野裕一

もつれを紐とく運動学習

昨日、「身体性と運動学習」のお話をしました。今日はその続きです。

身体性は何も運動に限らない知能の発達と関係があるということを、

言い忘れていました。

知能の発達=脳の機能の発達と言い換えても良いと思います。

脳自体は信号を感覚器などのセンサーを通して入力し、アクチュエイタ

ー(運動期間など)で出力するという作業をしているだけとも言われて

います。

しかし、

そこから世界の構造、例えば空間は3次元であることなどを学習して

いくことができるんですね。

その(入力と出力)どちらもを介在できるのが身体というわけです。

ですから身体性が学習を早めることになると言われています。

さらには、

新・イメージトレーニング?」でお話ししたように、その身体的な

体験が人間の知能の1階構造で、その上の2階に言語というツールを

使える構造があると考えられています。

そうすると、ある身体運動を学習するにも、体験だけではなく言語化

された指示やアドバイスなどからも、運動学習が可能になってきます。

もう一つの学習として、これも前に何度かお話ししましたが、ある他人

の動きを真似て学習すること、模倣学習があります。

これも現在AIの深層学習に取り入れられてきているそうです。

他にも、深層教師あり学習や深層強化学習などという学習方法もあって

全ての学習方法がAIによって試されています。

もう一つ人間が行なっている効率的な学習方法として、転移学習という

ものがあります。

過去に学んだことを別の場面に転じて、応用する方法です。

人間ってナンだ?超AI入門2」では、例えば子供が特に目的もなく

走り回ることを通じて、早く走ることを学んだとすると、それが別の

競技;サッカーなど;にもプラスになり、サッカーを通じてボールの

跳ね具合などを学ぶと、別の球技にもそれが生かされる、といった形で

説明されていました。

そして、

運動をうまく学習できるかどうかは、ある複雑な事象を分解して、

そこから単純で重要な構造を見つけ出す;もつれを紐解く能力がある

ことによるのではないか、とされていました。

これを、

disentanglementと呼ぶそうです。もつれを紐解くという意味です。

これはとても面白いなと思いました。複雑な事象をある要素に分解する

と聞くと、要素還元主義のように思えますが、実は全く異なるものです

分解した要素中から重要な要素を見つけ出すというところが決定的に

異なるところでしょう。

昨年MLBで新人王を取った大谷選手などはこの紐解く能力と模倣学習を

常に繰り返して行なっているのではないか?と番組のナビゲータである

松尾豊さんは述べていました。

さて、

もう一つの興味ある話題は、

人がこの世界に生まれて、何もわからずにほぼ無意識的に行なっていく

学習という行為は、意識的に行う楽手以上に重要であるという話と、

その世界を探索する駆動力には好奇心(curiorsity)があるのではないか

そうして、

最近AIにもこの好奇心を持たせる試行が始まったというお話でした。

こうなるともう、ヒトの個体発達と知能の発達過程をなぞらえた実験

ということになりますね。

どこまでAIの研究は進むのでしょうか?

しかし、改めてAI研究から人間ってナンだ?がわかってくるというのも

面白いことですね。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。