• 朝野裕一

身体が動く仕組みを知ろう;その6〜俊敏性ってなんだろう?

身体が動く仕組みについて考えるシリーズです。

関節の可動性・可動性、筋力、バランス能力、持久性などが、

なんだろう?と問いかけることを展開してきましたが、今日からは

俊敏性について考えてみたいと思います。

俊敏性とは、

素早く動くことのできる能力です。

英語では、agility(アジリティ)とも言います。

今まで考えてきた、

関節の可動性・可動性、筋力、バランス能力(特に動的バランス能力)

全てに関連した能力でもあります。

関節が十分に動く範囲を備え、かつ自分で自由にコントロールでき、

さらには素早く動くための(筋力の)瞬発力と動的バランス能力が

求められます。

もちろん、

感覚入力のフィードバックも必要ですし、フィードフォワードも必要

になります。

常時、身体の感覚受容器から入る信号を動きの制御に還元しながら

(フィードバック)、ある時にはあらかじめ身体の体勢を整え、次の

動きに備えるための筋収縮が必要な場合(フィードフォワード)も

あります。

つまり、俊敏性には神経の働きがとても重要だということです。

フィードフォワードに関しては、

例えば空中に身体を置いたときに、着地をする前に準備のための下肢

などの筋収縮が事前に必要です。

そうでないと、

着地した途端にバランスを崩して転び、次の動きができなくなったり、

下手をすると足首や膝の靭帯を傷めたりする危険性も生じます。

また、

例えば野球の守備では、身体の横に飛んだライナーやゴロに跳びついた

り、身体の前や後ろに飛んだフライをスライディングやジャンプをして

補球するときには、意図的にバランスを崩さなければなりません。

これには、定位と呼ばれる行為が必要です。

身体を捕球に適した位置に転換する能力と言ってもいいでしょう。

野球の野手やサッカーのキーパーが行う素晴らしい、

スライディング・キャッチやダイビング・キャッチはその典型です。

スポーツの競技によっては、ボールを捕えるという目的が優先される

ので、まるで転倒するかのように身体の位置を即座に変える能力が

求められることになります。

スポーツでなくても、バランスを崩して転倒しそうになったとき、

即座に身体の位置を変えて、安定を取り戻したり、転ぶ瞬間に身体の

位置を変えて、ケガを最小限に留めたりすることが可能になります。

これらも、広い意味では俊敏性の範疇に入ると考えます。

普通の生活場面ではそう滅多に起こらない状況かもしれませんが、

いつそういう状態が生じるかはわかりません。

普段は使わなくてもいつでも必要に応じて行えるべきなのが俊敏性では

ないでしょうか。リスク管理の面からも重要な能力でしょう。

そして、

これもただ単に強い力が発揮できることだけでは完結しません。

むしろ昨日まで話題にしていた、柔らかい力・しなやかな力が

必要ですし、

五感のなかの視覚や聴覚(前庭覚)、触覚や圧覚(圧力を捉える

感覚)、関節の位置覚、体性感覚などの感覚入力の鋭敏性や、小脳など

のフィードフォワードを司る部分の機能も重要になってきます。

これらを普段どう鍛えるべきか?については明日お話ししようと

思います。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。