• 朝野裕一

身体が動く本質〜立つということ

これまでも機会をみては、

身体が動くことの本質について考えてきました。

こういうと、とても大げさに聞こえますが、できるだけ自分にとって

理解しやすく、そして人にわかりやすく伝えるために、考えることは

とても大事なことと思っています。

動くためには何らかの力が必要です。動きの代表として歩くことについ

て考えてみようと思っているのですが、そのためには前提が必要です。

そう、それは立つということです。

歩くときのスタートは立った状態だからです。

立つということはどういうことか?

改めて考えてみたいと思います。

先日も重力のことについてここで書きましたが、手元にある落としても

壊れない物を持って手を離してみてください。

物は床や地面に向かってまっすぐに落ちていきます。

ニュートンがリンゴが木から落ちるのをみて思いついたとされている

(実際はその話は違うようですが)あの重力がその原因です。

正確にいうと、重力は重さを持った物体同士が引き寄せ合う力=引力と

地球が自転しているときの遠心力との差し引きで表されます。

宇宙全体を考えると万有引力とか、時空を歪める力とかの定義・理解が

伴いますが、ここではまぁイメージとして、地球の中心に向かって物に

働く力としましょう。

我々人類が二足直立位で立つこととは、先ほど物を床に落とす力に対抗

して体全体の姿勢を保つ必要があるということです。

さて、その対抗する力はどこから発生しているのでしょう?

それは、

骨と骨が作り出す関節の構造と、筋肉の力で維持されています。

関節の構造には、形状の特性と関節を構成する靭帯や関節包などの、

それ自体は収縮しない組織から成り立っています。

まとめると、関節の形と周りの靭帯そして筋肉の収縮する力が一緒に

なって、重力に対抗していることになります。

割り箸を一本手に取ってみてください。

割り箸自体はその構成から重力で自然と折れ曲がることはありません。

これを骨に例えてみれば、骨自体の構成力が重力に優っているので、

折れ曲がることはありません。

では、

手に持った割り箸をポキっと折ってみてください。完全に二つに分かれ

ない程度に。ある角度に折れた状態で止まると思います。

これは折れた部分の橋の構成体がまだそこでくっついているためです。

その力が重力打ち勝っているので、その状態で止まっています。

それが靭帯などの非収縮組織の結合力や筋肉の収縮力に当たります。

さらに、

折れ曲がった部分の先を触って動かしてみてください。

だんだん結合部分が弱くなり、最後には先が折れて床に落ちてしまうと

思います。

これが、結合部分の力が重力に負けてしまった結果です。

話をヒトが立っていることに戻しましょう。

身体をできるだけ真っ直ぐ・直立に保つということの一番重要な部位は

脊柱(背骨)です。

腰から上の部分が重力に負けずにその位置を保つこと。

脊柱は合計24個の椎骨からなっています。

ですから、

そのままではこれが重力に負けて折れ曲がってしまいます。

そこで、

その間にある靭帯や筋肉が重力に負けない力を発揮しているわけです。

少しでも重力に負けそうになると、姿勢は(多くは前側に)曲がって

きてしまいます。

背中が丸くなり猫背になり、骨盤が後ろに傾き腰も曲がってきます。

重力が立っている状態に働くとき、もう一つ重要なことがあります。

それは、

重力が地面を通じて地球の中心に向かって働くというお話をしました。

実はこれだけでは不正確で、地面に向かって働く重力の反作用として、

地面(や床)から身体に向かって反力(地面反力、床反力)が働いて

います。

これは、注意すると足裏で感じ取ることができると思います。

床を足が押している感覚、と同時に床から足裏に向かって力が作用して

いる、という感覚です。

この重力と床反力は、身体を動かす際にとても重要な働きをする力です

ので、ここでも何度も出てくると思います。覚えておいてください。

今日はこのくらいにして、次は歩くという最も基本的な動きの一つに

ついて考えていきたいと思います。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。