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執筆者の写真朝野裕一

主に一方向だけに大きく動く関節;肘と膝〜運動を科楽する:第1章(5)

3次元上の空間を広く・大きく動く関節として球場の構造した肩関節と

股関節について書いてきました。

今度は大きな可動域を持つけれども、その方向が一方向に限られる

関節について考えてみようと思います。

代表的なのが肘関節と膝関節です。

どちらも曲げ伸ばし(屈伸と言います)の動きが大きいですよね。

これは、その先にある手や足の位置を決めるのにとても役立ちます。

手を遠くに伸ばすとき肘は伸びますし、足を遠くにおいて何かする、

例えばボールを蹴る時などに膝が伸びてそれを可能にしてくれます。

肘関節も膝関節も、

屈伸以外の方向に動く余地はあるのですが、それはとても小さな範囲で

それを超えると関節自体が壊れてしまいます。

そのための構造的な補強がされているのですが、そのことに関しては

次回に譲るとして、

肘と膝(ひじとひざ)と音ではたまたま一文字違いの両関節について、

その類似点と相違点を構造と機能の点から探ってみたいと思います。

その前に、

今回は肘と膝の損傷についてお話ししておこうと思います。

なぜならこれらがその構造と機能に関連しているからです。

肘の損傷と聞いてまず思い浮かべるのは、野球のピッチャーにとても

多い内側にある靭帯損傷でしょう。

多くのしかも優秀な投手にこの損傷は起きるものです。

つまりは長い時間と期間、高いパフォーマンスでボールを投げる作業を

繰り返すことによる金属疲労的な損傷と考えられます。

その修復でこれまた有名なのが、トミー・ジョン手術です。

ダルビッシュ選手も田中選手も、そして最近は大谷選手も行なった手術

ですね。

主に肘の内側側副靱帯の損傷が代表的です。

これは、

屈伸以外の内反・外反という動きがほとんど肘の場合(膝も同じです)

少なく、靭帯などで保護されているから起きる損傷です。

一方の膝の場合は、

関節を補強している靭帯損傷がスポーツ選手にしばしば起こります。

膝の場合はそのほかの構成物(半月板など)の損傷も起きますし、

お皿の骨である膝蓋骨骨折などは、一般の方にも転んで膝の前を強く

打ったりすることで起こる場合があります。

いずれにしてもこれらの損傷の治療(手術をする場合も含めて)後に

その機能を再生するためのリハビリテーションが必須となります。

その時に、

構造とその機能、行なった治療のことをよく知った上で、それに応じた

動きの再獲得を図るわけです。

また動きを戻せばいいんじゃない?

と思いたいところですが、ヒトの関節を含む身体の仕組みには、一筋縄

ではいかない特徴が潜んでいるので、そう簡単にはいきません。

そこがまた面白いところなのですが、とにかく、次回から肘と膝の構造

(造り)と機能(役割)について比較しながら見ていこうと思います。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また次回に。

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