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  • 朝野裕一

立ち上がり動作再考

昨日の椅子からの立ち上がり動作をもう少し考えてみましょう。

それには少し物理(力学)のお勉強を必要とします。

とは言ってもそんなに複雑に考えてもわからなくなるので簡単に原則を

考えてみます。

立ち上がる動作は、重力に逆らって行う仕事です。仕事=力×移動距離

(W=F・x) です。そして1秒間に行われる仕事を、仕事率(パワー)

と言います。仕事率=仕事量/時間(P=W/t)となります。

仕事率(パワー)=力×距離/時間=力×速度となるので、

仕事の効率を決めるのは、力と速度の掛け合わせとなります。

さて、ここで力があまり強くなく背中が曲がってしまったおばあちゃん

を想定してみます。力が弱いため同じ仕事を効率よく達成するためには

動きの速度を高める戦略を取らざるを得ません。

ここで思い出していただきたいのが、椅子からたち上がる動作は、

重心の移動を真上だけではなく、前に移動しなければならないことです。

素早く動こうとした時、前に重心を移動する方法として、背中の丸まり

なども逆に利用して、前にやや極端な言い方ではありますが、転がる様

に動こうとするでしょう。最初に力を加えればその動きを保とうとする

性質があります。それを慣性の法則と言います。これも物理ですね。

慣性の法則を利用して、初速を与えた前方への動きでお尻が無事

椅子の座面から浮いたとしましょう。

ところが初速を維持して前に行こうとする力が働いているので、

いざ上に持ち上げようと(立とうと)する力を発揮するタイミンングが

難しくなってきます。下手をするとそのまま前に転んでしまします。

一度そういう経験を持っていると人間は学習しますので、

次には前に行く速度を抑えるかもしれません。そうなると今度はお尻が

座面から浮くに至らず後ろに戻ってしまう。中々上手くた立てません。

力がある人ならばそんなに前に移動する速度をはやめなくても、

お尻を持ち上げた直後にその姿勢を保ちながら床を押して

(膝を伸ばして)上の方向へ姿勢を伸ばしていけるでしょう。

ところがそこまでの力を持たない方にとってはこの踏ん張る瞬間が一番

の問題・課題になってきます。

そんなわけで、前に手をついて前に転がるのを抑えながら、一方でそれ

を起点に上にも持ち上げるという手の補助を使っている、使った方が

危なくない(転倒の危険を防止する)と考えられます。

以上、ザックリとですが椅子からの立ち上がり動作に見られる力学の

応用について考えて見ました。

日頃の動作の中にも物理の法則は聞いており、それにどう適応・対応

するかという人間側の戦略も見えてきて面白いなと思います。

皆さんはいかがでしょうか?

今日も読んでいただきありがとうございました。また明日。

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