心的外傷後成長!?
さて、ここまで
脆さ、脆弱性について書いてきましたが、
この考え方(概念)の反対は何でしょう?
通常は、頑健さ(robustness)と答えるのではないでしょうか。
しかし
タレブ氏は近著で、頑健さは脆弱性の反対では必ずしもないと述べています。
ここで、反脆弱性(anti-fragility)という言葉を使っており、
それが本の題名にもなっています。
脆さとは、変動性やランダム性という不安定なものに翻弄されて不利益をこうむること。
頑健さは、変動やランダムな条件に対抗して負けない、めげない強さを表すものの、
脆さの反対ではないと。しかしこれを表す言葉が見つからないので、
自分で考案したと述べています。
反脆さ、反脆弱とは、
不安定な、不確かな条件からむしろ利益を得ること。
確かにこの方が反対語の意をなしていると思えます。
一方で、レジリエンス(resilience)という言葉、考え方があって、
柳の木の枝のように、風が吹いても受け流し決して折れない、
復元力、治癒力を自分で持つ力を指す言葉です。
これについてはタリブ氏の著書では触れられておらず、
私の感想では、レジリエンスよりももっと広い範囲で、
反脆弱性という言葉を使っているようです。
※反脆弱性は一定のストレス、変動性、ランダム性に対してむしろ利益を得る(結果として)が、個人の脆弱がその種全体の反脆弱を生み出すこともあるなどー明日述べたいと思います※
人の個人に関して言えば、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に対して、
心的外傷後成長(Post Traumatic Growth)ということもあるという説を紹介しています。
ストレスに負けないのではなく、むしろそれを逆手に利益、成長を得る、
ということは(確かに後で振り返れば、のレベルであっても)十分にありうることです。
タリブ氏によれば、頑健さは負けないが成長を示唆はしていないということなのでしょう。
あくまで、利益、成長などのプラスを反脆弱性という言葉の中に込めていると思います。
そしてこの文脈の中で、人の加齢とそれにともなう老化、衰弱のイメージ
(解釈と言った方がいいかもしれません)とは別の考えをも示しています。
それはまた明日に。
今日も読んでいただきありがとうございました。