- 朝野裕一
運動の自動化と遂行障害;イップスって?
ある運動の練習を続け習熟し、ほぼ自動化されるまでに、すなわち
その動作を意識せず他のことに意識を置いてもその動作を行えるまでに
なることは、運動学習の結果としてあることです。
しかし、そこに大きな落とし穴?!と言っていいのでしょうか、
自動化された動きが突然凍りついたようにできなくなることも、
しばしば報告されています。
習熟した者ほどそのようなことが起きる、これを一部では“イップス”
と呼んでいます。
今日は、
そのことについて考えてみます。
最初に正直に言ってしまうと、
実は今「イップス〜スポーツ選手を悩ます謎の症状に挑む」(内田直
監修、石原心 著 、大修館書店、2017.)を読み始めたばかりで、
そのにわか知識の受け売り情報を元に、以前から関心のあったイップス
という現象の機序やら、解決法やらをこの本を元に考えていけたらな、
と思っているわけです。
ですから、この話題は数回に分けてお話しすることになりそうです。
最初にイップスという現象を強烈に意識させた場面といえば、ゴルフ
の日本オープンでの出来事をテレビ画面上で目の当たりにしたことから
始まっています。
当時(1988年)、青木功プロ、中島常幸プロと並びAONと称された
尾崎将司プロが彼ら二人と競り合った末、最後のラウンドでこのパット
を入れれば優勝という場面で、
尾崎選手が一度ならぬ二度までも、パターを打つことができず、仕切り
直しをした上で最終的にパターを入れて、優勝した場面でした。
なんで数々の修羅場を超えてきた、しかもトッププロが、いくら
プレッシャーがかかるとはいえ、パットを打てないなんてあるの?
と素直に疑問を持った記憶があります。
今思えばこれがイップスといわれるものでした。
その後も、
そんなことがあるんダァ、と思いながら気にはしていたのです。
そして、
今年だったか昨年だったか定かではないのですが、
かのイチロー選手も実は投球動作のイップスになったことがあるという
ことを、何かのインタビュー番組で話していたところから、改めて
イップスについて知りたいなと思いました。
そんなこんなで先ほどの本を購入し
しばらくそのままにしておいたまま、今回話題に取り上げようと
(そのためにこの本を読んでみようと)思いました。
そして、
ジストニアといわれる;よく熟練したピアノ奏者が特定の指だけ
突然動かなくなってしまう;症状として知られる現象や、書痙と言って
突然字がうまく描けなくなってしまう症状とは同じなのか違うのか?
などなど、
様々な疑問が湧いて来ました。
これから、
何回かに分けて(連続にはならないと思いますが)本を読み解きながら
少しずつ“イップス”についてお話しできたらと思っています。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。