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朝野裕一

イップスって知ってますか?:3

さていよいよ、

イップスは治るのか?です。

この参考図書では主に、野球の投球におけるイップスへの対処方法が

詳しく述べられているので、それに準じて野球のボールを投げる時の

イップスについて紹介します。

その前にもう一度確認です。

<イップスとはどんな状態でしたか?>

イップスとは、

自動化されたはずの運動に対して、

脳が過剰な運動調節を加えて起こるもの、でした。

すなわち、

運動調節ができる自由度が高いからこそ起こるとも考えられます。

そこでこの本では、

調節の自由度を奪うことによって、脳に動作の調節を諦めさせる、

あるいは、

脳からの過剰な運動調節の命令が出ても、反応する側の身体の運動自由

度を奪うことによって、イップスの症状を変化させることができるので

はないかという方針仮説の元に、エクササイズを考えています。

あくまで薬や心理療法的なものを主とする対応とは異なるアプローチを

提示しています=エクササイズです

※薬物療法などについては、次回ジストニアとの関連において少し言及

してみます※

<どうやってイップスに立ち向かうの?>

立ち向かうというとやや大袈裟ですが、要は対策としてのエクササイズ

の紹介です。

先ほど述べたように、野球のボールを投げる際のイップスについてです

まずは、

1.重いボール、大きなボールを投げる練習

〜次の三段階で構成されています〜

砲丸を投げる(やや大きくて重いボール)

砲丸は公式ボールより重い球です。

重い分それを落とさないようにするための筋肉が働き、その分細かい指

や手首の動きなどは制限されます。

特にオールタイプ〜

どんな場面でも、極端にいうと硬式ボールを握った時点で投げる不安を

抱いてしまうような場合〜

の選手には有効のようです。

強制的に脳に過剰な運動調節をさせないようにすることが目的です。

ハンドボールを投げる(大きくてやや軽いボール)

手の動きの自由度は砲丸よりも高くなりますが、一方で大きいボール

のため、手首や指の動きは依然として自由(硬式ボールに比べ)に

なりません。

そもそも指で握ることができないほど大きいので、当然指の動きなど

は硬式ボールとは違った持ち方及び投げ方になるでしょう。

でも、ボールを投げるという動作には変わりありません。

ソフトボールを投げる(少し大きく少し重いボール)

硬式ボールよりはやや大きくやや重いボールで、硬式ボールを投げる

状況を再現します。

投げる距離や投げる相手を変えて、実際の場面を想定して行います。

ここまでは、

硬式ボールを握った時点で不安を感じてしまうような選手への対策です

ソフトボールでいい感じをつかんだら、硬式ボールで練習を始めてみる

しかし、

決して焦らず個々の選手の感覚を大事にすることが重要だと述べられて

います。

その感覚とは、

「そういえば、ボールってこんな感じで投げていたなぁ」です。

一方で、

逆のアプローチもあります。

2.軽いボール、小さなボールを投げる練習

これは主に、特定の場面でうまく投げられなくなる;オンリータイプ

の選手に有効のようです。

※重いボールをクリアした次の段階で用いる場合もあるようです※

テニスボールを投げる(やや小さくやや軽いボール)

硬式ボールよりも手首や指の運動自由度が増す分、投げる不安感も

高まると考えられます。

卓球のボールを投げる(とても小さく軽いボール)

これ以上小さくなるとむしろつまむ感じとなり投球動作からかけ離れて

しまうので、卓球ボールが適しているようです。

最も自由度が高くて不安感も増す可能性が高いと考えられます。

これらのボールを、できるだけ実際の場面;気を使いそうな相手や、

緊迫した場面を再現して、的当てを10回連続するまで止めないなどで

緊張感や失敗への恐怖心を再現する練習です。

③硬式ボールを投げる

硬式ボールよりも自由度が高くて調節運動を要する小さくて軽いボール

を投げた後に、硬式ボールに戻ると、相対的に大きな重いボールなの

で大きいボールを投げた時と同じような効果が期待できる、

という意図です。

「意外と投げやすいな」

と感じられれば、その目的を達したことになります。

他にも心理的な面のアプローチなどが記されていますが、それは次回

ジストニアなどとの関連でお話ししたいと思います。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。ではまた明日。

★参考・引用図書;

「イップス〜スポーツ選手を悩ます謎の症状に挑む」(内田直 監修、

石原心 著 、大修館書店、2017.)

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