• 朝野裕一

イップスって知ってますか?:4

ジストニアという病気があります。

脳(主に大脳基底核など)や神経系の何らかの障害により、持続的

あるいは不随意的(意図しない)に筋肉が自分の意思通りに動かなく

なり、異常な動作や姿勢になる、とされています。

何だかイップスと似ている感じもしますね。

今日はその点について補足します。

ジストニアには、原因のわからない特発性(とくはつせい)から、

原因のわかっている症候性ジストニアがあります。

また部位として、

局所性、全身性、分節性(局所性から近くの部位に波及していく

タイプ)などがあります。

イップスをこの枠組みに入れると、特発性で局所性と言えるかも

しれません。

書痙と言われる書字障害(特に人前などで手が振えてうまく字が書け

なくなる)は特発性で局所性に分類されています。

また、

楽器奏者が陥る演奏時の特定の指などの筋肉がうまく働かなくなる状態

もジストニアと言われています。

イップスとジストニアを区別するといえば、何らかの神経学的な主に

機能障害があることです。

しかし、

イップスも神経系(脳の指令)が過剰になるのであれば、機能障害と

言えるのかもしれずこの辺ははっきりと定義されていないようです。

しかも、

イップスについての学術的な研究はあまり広く行われておらず、

したがって、

決定的な治療法なども確立はしていません。

ジストニアでいえば、

薬物療法や行動療法、バイオフィードバック療法、場合によっては

外科的治療(脳神経外科の手術など)などもあります。

さすがに、

イップスで薬物療法や手術などを行なった例は挙げられていません。

不安症などが特別強い場合はまた別の診断とともに、別の治療が加え

られるのかもしれませんが、正直よく知りません。

イップスとジストニアは、

限りなく似ていて、重なる部分もあるようですが、はっきりしません

きっと投球やゴルフでのイップスで病院を受診するケース自体が、

あまりないのではないか?とも推察されます。

何だかはっきりしませんが、適当なことも言えないのでこの程度が

(私個人の)説明の限界です。

ただ確実にイップスという症状があることも事実で、昨日紹介した

エクササイズ以外にも、心理的なサポートも含めた対策が紹介されて

いますので最後にそれを。

イップス自体が不安感を伴うもので、さらに誰かに相談もしづらく、

治療の道筋も見えないので、競技選手であればその競技を諦めて止めて

しまったり、無力感に陥ったりするケースも少なくありません。

したがって、

その点を踏まえた対処法が必要にもなります。

イップスに陥っている選手などは、セルフエフィカシーといって、

自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できるかという可能性

を認知すること、が低くなっていることが多いようです。

そこで、

セルフエフィカシーを高めるアプローチがいくつか述べられています。

①セルフモニタリング

無気力感に陥っていると、現実に起きている状況を過剰に否定的に

捉えているケースが多く、できないことばかり考えてしまいます。

何ができていて、何ができていないかを整理するために質問用紙

などで自己評価を行う必要があると述べられています。

②リラクゼーションあるいはサイキアップ

スポーツなどのパフォーマンスは適度な緊張のもとで一番高いレベル

が得られ、過剰や極端に少ない場合が低くなると言われています。

過剰な緊張にはリラクゼーションで交感神経の働きを抑え、

緊張が極端に低い場合にはサイキアップという心理状態を活発にする

アプローチが必要ということになります。

③フェイスセッティング

ヒトの感情は表情に表れやすく、表情などの動きがまたヒトの感情を

左右するとも言われています。

ここでは口角を上げる表情をとる練習(イップスの怒る場面での)

を勧めています。

これによって脳がポジティブな状態と思い込み、不安を消すことが

期待されます。

④ハンドルッキングスローイング

これは特に野球などの投球動作に関しての対策です。

イップスの選手の多くは、投げる際にボールがどこにあるかわからなく

て不安、ということを感じるようです。

そこで、いっそボールを握った手を見ながらスロー(投球)して

みようというアプローチです。

ボールの位置がどこにあるか見えないから不安→不安だからより調節

しようとしてしまうという悪循環からの解放と考えてもいいでしょう。

ザーッとイップスについて、参考図書からその定義から治療などを

紹介してきました。

スポーツ場面でなくとも、人前で話をする機会などにマイクを持つ

手が振えてしまうとかの経験は誰しも持っていると思います。

そういう場合にももしかしたら何らかのヒントが得られるような気も

しています。どうでしょうか?

今年6月から始めたブログをいつも読んでいただき、

ありがとうございます。

今年は今日で終わりですが、

どうかみなさま良いお年を迎えてください!ではまた明日=来年。

★参考・引用図書;

「イップス〜スポーツ選手を悩ます謎の症状に挑む」(内田直 監修、

石原心 著 、大修館書店、2017.)

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