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朝野裕一

人が速く動くことについて考えてみた:第十三話

前回、別の視点から人が素早く動くことを考えてみようと試みました。

なかでも、

安定を崩すことで人は動き始める、としました。

今日はまず安定についてもう一度おさらいしてみようと思います。

同じ安定といっても、動かずにある姿勢を安定的に保つことを、

静的安定と呼びます。

一方、その静的安定を崩して動き出すわけですが、動いている最中の

重心のコントロールがうまくいかないと、安定した動きが得られません

この動いている時の安定性を、動的安定と呼びます。

止まっていようが動いていようが、重心の位置がうまくコントロール

されていないと不安定ということになります。

さて、

もう一つのお話、一軸での体の動き(主に捻りの動き):一軸動作と

両股関節の間を軸とした二軸動作についてです。

主に捻りの動きと書きました。具体的にはゴルフのスウィングや野球の

バットスウィングなどで生じる体の捻りを考えてみましょう。

下の図をご覧ください↓

体は上から見てかなりデフォルメしています(緑色の楕円部分)。

左側が体の中心部分を軸にした円運動です。

右側は黄色で示した小さな点が両股関節の中心で、その間で軸が移動

しながら軌道自体が楕円の軌跡を示している状態=二軸動作です。

一見左側の方が効率がよく、速く動けそうに見えますよね。

しかし、ゴルフクラブや野球のバットをスウィングするときを想像して

みてください。

左の円運動では、体をかなり捻らなければならず、窮屈になりますし

強く速いインパクトのある体の回転を起こしづらいと考えられます。

イメージできるでしょうか?

右側の二軸間の楕円軌道運動では、重心をある程度右⇔左に移しながら

一軸よりも大きな(楕)円弧を描いて、強いインパクトのある速い動き

を発揮できそうです。

このように動くことができれば理想的なのですが、現実はなかなか

そうもいきません。

ゴルフをしたことのある方であれば思い当たる節があるでしょうが、

重心の左右移動の際に、思ったより行き過ぎてしまったり、逆に動きが

不足していたり、と滑らかな重心移動が行われずぶれてしまう経験を

されたことがあると思います。

ちょうどこんな感じでしょうか?↓

右のように、(楕円)軌道が左右にぶれ過ぎてしまっています。

こうなるとエネルギーロスが生じ動きの効率性が損なわれ結果として

素早い動きもできなくなります。

正面から見るとこんな感じ↓

左右にぶれてしまい、動的な不安定を来していることになります。

ですから速くて正確な動きを行うためには、静的・動的な安定性が保証

されている必要があるわけです。

明日はもう少し、日常生活の中での動きを例に 考えてみましょう。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。

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