• 朝野裕一

筋力についてもう一度しっかりと考えてみよう!:その9

さて、ここまで筋力についてお話ししてきましたが、ここでもう少し

基本的なことも述べておこうと思います。

筋肉が収縮する様式について先日も書きましたので重複するかもしれま

せんが、お許しください。

また例を肘を曲げる動きにしてみましょう。その主たる働きをする筋肉

(主働作筋)は上腕二頭筋と呼ばれている、二の腕の力こぶで認められ

る/ご存知の筋肉です。

肘を曲げていくと、上腕二頭筋は収縮しながら長さを縮めていきます。

反対側についている(肘を伸ばす働きの)上腕三頭筋はこの時は緩んで

いて、肘を曲げる動きを邪魔しないようになっています。

この筋肉の長さを縮めながら収縮している状態を、求心性収縮

(concentric contraction)と呼びます。

今度は、

曲げた肘をゆっくりと伸ばしていくとします。上腕二頭筋を急に緩める

と肘は急速に伸びていきますが、ある程度ゆっくりと意識的に伸ばして

いくと、上腕二頭筋(肘を曲げようとさせる働き)は徐々にその収縮度

を低下させていくことになります。

一方で、上腕二頭筋は肘が伸びるに従いその長さを伸ばしていきます。

つまり、筋肉が伸ばされながらも収縮は続いている状態、これを

遠心性収縮(eccentric contraction)と呼びます。

では、長さが変わらずに収縮しているときは?これを等尺性収縮

(尺=長さ;が等しい=変わらない;isometric contraction)と

呼んでいます。

これはどんな時でしょうか?

先ほどの肘曲げの例で言えば、一定の角度に肘を曲げて、外から肘を

伸ばそうと力を加えたときに、その角度を保っている状態です。

このとき、

上腕二頭筋は等尺性の収縮をしているということになります。

上腕三頭筋は緩んでいて構いません

それとは別に、

肘を曲げる/伸ばす方向へ繰り返し力を(交互にでも)加えたときに、

肘の角度を一定に保つには、上腕二頭筋だけではなく上腕三頭筋も

収縮している必要があります。

この状態を同時収縮と呼んでいます。曲げる働き・伸ばす働き両方の

筋肉が同時に収縮して、一定の関節の位置を保持している状態のときに

起こっています。

なかなか分かりづらい、面倒臭いお話かもしれませんが、

もう少しお付き合いください。

筋トレを行う際に、どの筋肉が働いているかを意識することが、その

効果を上げると述べてきました。

そのためには、どこの筋肉がどういう働きをしているかを知っている

ことは、決して損しないというかむしろ知っておくべきなのではないか

と思っています。

もう一つだけお話しして今日は終わります。前にも書いたことなの

ですが、先ほどの肘曲げ時の上腕二頭筋のような主働作筋の他に、

それを補助する筋肉の収縮があったり=共同筋/協働筋、筋肉が付着

している一方側を固定している作用の固定筋などの働きも同時に起きて

いるということも頭に入れておいてください。

さらに言うと、

肘を曲げる上腕二頭筋や上腕筋、腕橈骨筋と呼ばれる筋肉が働かなく

ても、肘を曲げる動きを引き出すことは可能です。

トリック・モーションと(業界内では)呼ばれる他の筋肉など

(協働筋以外の)を使った一種のトリック的な動きのことを指す言葉

ですが、

このような代償的な動きを見抜いていないと、鍛えようとする筋肉以外

の別の筋肉を使って代償動作が起きてしまい、場合によっては他の関節

などへの不必要な負担を与えてしまう場合も出てきます。

※肘曲げを例にすれば、身体や二の腕を反動をつけて前に降り出すと

その慣性力によって肘が曲がってきます※

今日は、ちょっと小難しい話が続きましたが、軽く頭に入れておいても

損はないというお話でした。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。