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筋力の前提としてしばらく関節の話をします

  • 朝野裕一
  • 2018年6月3日
  • 読了時間: 3分

関節には色々な形状があります。

一般的には、

二つの骨が凹凸をなして、両者の間で関節を形成しています。

ですから、

ロボットアームのように一軸あるいは多軸だとしても決まったポイント

に関節が回る中心が来るわけではありません。

そして共通しているのが、

ある程度の遊びを有していることです。肩や股関節のような球関節で、

お椀状のところにすっぽりと球状の(骨)頭が入っている場合でも、

ある程度の緩み=遊びがあります。

そうでないと、滑らかな・自由な動きができないからです。

※中には仙腸関節などのようにほとんど遊びがない関節(と呼ばれて

いるもの)も存在しています。※

遊びが減少していくると関節の動きは硬くなり、関節可動域(他動)

の制限が生じてしまいます。

関節拘縮と呼ばれるものはその典型で、関節の周りの軟部組織が、

何らかの傷害などでそれを修復するときに、周りの組織が炎症になり、

腫脹したり(脹れたり)、傷の修復段階で生じる瘢痕組織と呼ばれる

硬い組織で覆われてしまったりすると、関節の拘縮という可動域制限が

生じます。

さてヒトの関節は、

先ほどロボットのような構造(関節軸)や機能ではないと言いました。

ロボット構造ではその多くが関節自体をモーターなどで駆動させる構造

が多いと思われますが、

ヒトの関節の場合は、靭帯や関節包などのそれ自体は収縮しない組織

(非収縮組織)や、筋肉(収縮組織)に覆われて安定性を保たれた上で

動きが発生します。

駆動力は主に筋力(重力や慣性力もありますが)で、他の非収縮組織に

よってある程度動きの制限が関節を痛めないように保証されています。

股関節などの深いお皿に骨頭がハマった球関節では、その整合性が良い

ために比較的安定した・範囲の広い動きができます。

肩関節は股関節同様球関節ではありますが、肩甲骨にある臼蓋と呼ば

れるお皿部分が浅いために、動きの範囲は広いと同時に、整合性が

股関節ほどしっかりとしない分、脱臼の危険性が大きくなります。

膝関節はまたちょっと特殊な構造で、凸の部分(大腿骨;太ももの骨)

と凹の部分(脛骨;スネの骨)があまりしっくりと適合しておらず、

曲げ伸ばしの方向だけは非常に大きな可動域を持っていますが、

それ以外の動きは、周りにたくさんある靭帯などで制限されています。

適合をよくするために、半月板と言われる(内側と外側に二つずつ)

クッション様の組織が脛骨の上に存在しています。

スポーツ競技などでよく靭帯損傷(前十字靭帯とか)を目にしますが、

安定を保つ組織である靭帯が切れてしまうと、膝の正常な動きが再現

できず不安定な関節になる場合があり(特にスポーツなどの激しい

動きを伴う場合は)、手術の対象になることもしばしばです。

筋力を発揮することで動きを起こすには、関節の動きが正常で安定して

いると同時に、ある程度の遊び=緩みがあって自由度が確保されている

必要もあるということです。

そのため、関節可動域を評価するということは動きを確かめるための

基本的な要素となっているのです。

教科書的になってしまいましたが、しばらくまたお付き合いください。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。

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