top of page
執筆者の写真朝野裕一

股関節と肩関節の似てるところ/違うところ;構造編〜運動を科楽する:第1章(3)

球関節は一部臼(うす)関節;股関節がそれに当たるのですが;と区別

して書いてあるものもあります。

ここでは股関節も球関節として取り扱います。

さて、

球関節の代表選手である股関節と肩(肩甲上腕)関節。

その似てるところと違うところを探ってみましょう。

今日は主に構造(造り)の類似点と相違点について考えてみます。

すでに書いてきた通りどちらも球関節には違いないのですが、全く同じ

造りではありません。

肩関節はどちらかといえば受け皿が浅くなっています。

それに比べると、股関節のお皿は深くなっています。なので、臼関節と

して別の分類をするケースがあるわけです。

お皿を形成している土台部分は、股関節の場合骨盤に位置しています。

対する肩関節は、肩甲骨にお皿(臼蓋;きゅうがい;と呼びます)が

あります。

股関節と肩関節は3次元的に大きな可動範囲を持って動くので、お皿の

深さが浅いということは、脱臼する危険性が高まることを意味します。

形状的に球関節をなす他の関節;腕橈関節や中手指節関節など;は、

球関節で受け皿が浅いとはいえ、周りの構造からして3次元的に大きく

動く関節ではありません。ですから、脱臼の確率は低くなるのですが、

肩関節はそうはいきません。

非常に大きな3次元的可動範囲を持つので、それだけ受け皿が浅いと

脱臼のリスクは高まることになります。

もちろん、

そのリスクをできるだけ下げるため、受け皿の補強としての関節唇と

いう構造物があったり、烏口肩峰靭帯などの靭帯や、肩関節腱板

呼ばれる4つの筋肉によって、保護されています。

※もちろん、股関節にも関節唇や強力な靭帯構造が存在しますが、

そもそもの受け皿の深さが脱臼の危険性を減らしているといえます※

とはいえ、

股関節に比べれば外傷としての(肩関節)脱臼;肩鎖関節脱臼なども

ありますが;は肩関節の方が頻度が高いといえます。

もう一つ、

構造における肩関節と股関節の決定的な違いは、土台部分にあります。

股関節の受け皿は骨盤についており、肩関節の場合は肩甲骨です。

骨盤・肩甲骨どちらも動くのですが、骨盤は腰椎とユニットになって

動くのに比べ、肩甲骨は鎖骨と連動してはいますが、かなり大きな動き

をします。

土台自体が大きく動くのが肩関節です。この肩甲骨と上腕骨(二の腕

の骨)の連動した動きが、腕(手)を高くあげたりするのに役立って

います。

大雑把にいうと、

上腕骨2に対して肩甲骨1の割合で動くとされています。

ここまでをまとめると、

・股関節と肩関節の構造上の類似点:いずれも球関節であること。

・相違点:受け皿の深さに違いがあること;股関節の方がより深い

(受け皿の深さ:股関節>肩関節)

・お皿がある土台部分の動きが異なること:股関節は骨盤、肩関節は

肩甲骨にあり、肩甲骨が比較的大きな動きをすること。

少し機能的な面にも言及してしまいましたが、そもそも構造と機能は

一体になっているので、 別々に語ることは難しい話ではあります。

そこで、今度は股関節と肩関節の機能(役割)の類似点と相違点に

ついて考えてみたいと思います。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また次回に。

閲覧数:259回0件のコメント
bottom of page