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  • 執筆者の写真朝野裕一

筋肉の役割を担うもの〜運動を科楽する:第2章(3)

今日は、

筋肉の、中でも随意筋である骨格筋の役割について考えてみましょう。

一番大きな役割は、関節を動かす動力源です。

筋肉はその先端が筋から腱に移行して色々な骨に付いています。

骨と骨の間にある筋肉が収縮すれば、その関節が動くというわけです。

筋肉はただ動かすだけではなく、どのくらいの強さや速さで動いたかを

情報として感覚神経に送り返してもいます。

骨に付着している腱の部分には腱紡錘、筋肉の中には筋紡錘という感覚

受容器=センサーが存在します。

ここからの情報により、筋肉の収縮度を調節しています。

いずれにしても神経とのやりとりがあって初めて筋肉は収縮(や弛緩)

をするということです。

神経ー筋ユニットの重要性です。

下の図は筋肉の疲労について説明したものですが、この神経と筋肉の

関係をよく表しています。

もう一つ覚えておいたほうがいいことは、最終的には電気的な信号が

神経筋接合部で化学変化を起こしているということです。

そこで初めて筋繊維が収縮という物理的な動きを生じます。

つまり、

化学的な要素を無視することはできないことになります(生化学)。

具体的には筋肉周囲の環境の酸性度(pH)や化学物質の蓄積などが

収縮や弛緩に関与してきます。

ナトリウムイオン(Na⁺);神経細胞に関与、カルシウムイオン(Ca⁺⁺)

、水素イオン(H⁺)やATP(アデノシン三リン酸)、CP(クレアチン

リン酸)などの存在が、筋の収縮度に影響を与えます。

これらは食べ物や飲み物とも関係してきます。

ですから、糖質、水分やスポーツドリンクの補給が時に必要だと言われ

るわけです。

さて、

筋肉の収縮によって関節を一方向へ動かす(動筋)には、その反対方向

の動きを作る筋肉(拮抗筋)が十分弛緩されていることが必要です。

逆に、

一定の角度に固定するためには、両方の収縮が必要です(同時収縮)。

また、

筋肉が付着した両端が動いてしまっては、求める動きが達成されない

ので、一方を固定する役割としての固定筋の活動なども必要です。

何気なく行っている関節の動きの中に様々な要素が混ざり合っていて、

その動きができることになります。

神経の命令、感覚受容器からのフィードバック信号、神経筋接合部での

化学変化、動筋の収縮と拮抗筋の弛緩、固定筋の働きなどです。

結構深いですよね。

さらに最近の研究では、筋肉自体から発生するメッセージ物質が様々な

役割を果たしているのではないかということが分かり始めてきました。

単に骨や関節を動かすいわゆる運動効果器だけではなく、もっと人体

全体に重要な役割を持つのではないか、と示唆されつつあります。

これからの報告が楽しみですね。

今日は関節を動かす筋肉の収縮機構の意外と複雑な背景について、様々

な視点から概要をお話ししました。

結論として、

身体を動かすには神経の働き(命令;運動神経と情報提供;感覚神経)

が重要なこと、神経と筋肉の間の生化学変化に、普段私たちが口にする

食べ物や飲み物などが関与していること、収縮と弛緩がバランス良く

関係していること、などがわかりました。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。

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