朝野裕一
身体-カラダメンテ その十〜具体的な身体操作6 簡単な腰の調整
今回は、多くの方が一度は悩んだことがある
腰の痛みや硬さに対する日々のメンテナンスを
紹介します。
腰周りに関しては紹介し始めると
いくらでも種類があるので、
今回は普段馴染みのないと思われる
多裂筋へのアプローチを主に、
至って簡単な二通りの方法を紹介します。
その前に多裂筋ってどんな筋?
画像は著作権の関係で提示できませんが、
下のリンク(黄色い字で“多裂筋”と書かれた部分を
クリックして確認していただければ、と思います。
多裂筋とは?
身体の背部に沿って存在する筋としては脊柱起立筋
があります。
これはもしかしたらお聞きになったことが
あるかもしれません。
比較的長い筋肉群で、
主に背中・腰を反らす運動に関与しています
(他にも側屈や回旋にも関与はしています)。
では多裂筋と何が違うのか?
多裂筋は比較的短い筋肉で、
2、3個の腰椎(椎体)にまたがっています。
腰部の伸展(反らす動き)や回旋、側屈に関与していますが、
大きな動きは伴わず;短い筋肉なので当然です;
腰部の多裂筋であれば腰椎を安定させる役割を担っています。
この安定性が確保された上で、
先ほどの脊柱起立筋群が働き、
自然な伸展運動を引き起こす
というメカニズムになっています。
逆にいえば、
もし多裂筋の働きが弱まると、脊椎(椎体)の
一つ一つの動きが不安定なまま伸展されていき、
場合によっては腰痛を生じることもあるでしょう。
そういう意味
=椎体を安定させた上でダイナミックに動かす基盤としての意味
で、大変重要な役割を多裂筋は担っています。
多裂筋の説明はこれ位にして、
早速、
具体的に多裂筋を鍛える/調整する運動を
二つ(床に腹ばいになって行う、立って行う)
紹介します。
※腰部脊柱管狭窄症の診断を受けた方、
ないし腰を反らすと下肢に痛みや痺れを生じる方は、
以下の運動は行わないでください。
一つ目は、
床に腹ばいになって肘で上半身を支えてください
(パピーポジションといいます)。
そこから、
片方の手(上肢)と反対側(対側)の下肢を
同時に挙げてください。
![](https://static.wixstatic.com/media/fd5851_68664283d625426ca8c196e677baff28~mv2.jpg/v1/fill/w_130,h_90,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/fd5851_68664283d625426ca8c196e677baff28~mv2.jpg)
これを反対側同士でも行います。
保持する時間は数秒で構いません。
回数は状態に任せて、数回から始めて
20回くらいまで可能であれば、
それを1セットとして休んでください。
あくまで調整目的(メンテナンス)なので、
1日に、数回から20回までの1セット、
でいいと思います。
急に頑張りすぎると筋の疲労を起こしてしまい、
かえって腰痛を引き起こすかもしれませんのでご注意を!
できる範囲でのんびりと始めましょう!
これがちょっときついな、と思った方は、
立って行う運動(二つ目の運動紹介)をやってみましょう。
壁に向き合って立ち、
片方の手(上肢)を挙上し、同時に反対側(対側)の
下肢をちょっと後ろに持ち上げて(伸展させて)ください。
膝は伸ばしたままで行いましょう。
![](https://static.wixstatic.com/media/fd5851_d9f9205d56304c22b8ce64758bb11754~mv2.jpg/v1/fill/w_130,h_90,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/fd5851_d9f9205d56304c22b8ce64758bb11754~mv2.jpg)
先ほどの腹ばい位同様、反対側同士も行ってください。
回数や1日のセット数も先ほどと同じ考えでいいと思います。
腹ばいの時よりは楽にできるので、やりやすい(とっつきやすい)
と思います。
また、必ずしも壁に向かわなくても構いません。
ただし注意点としては体幹部(上半身と骨盤)は、
運動中まっすぐに保ってください。
上肢・下肢の運動に伴って身体が前後左右に揺れないように
まっすぐのままキープしましょう!
私の病院勤務時代のことですが、
腰が曲がって痛みを訴える患者さんに多く出会ってきました。
だいたいは農作業を昔からしていた方が多いのですが、
みな多裂筋の萎縮(筋肉自体が痩せてしまっている状態)が
顕著に認められていました(CT解析から)。
農作業独特のかがみ作業(の状態が長く続く)が、
結果として腰椎の伸展可動域を制限させていった
と考えられます。
同時に、伸展筋を働かせる機会が少なく、
特に腰椎を伸ばす(反らす)ときに安定基盤として働く
多裂筋などが萎縮していったと考えられます。
ですから、
普段からちょっとしたメンテナンスとして、
また腰痛の予防として、
先ほどのような多裂筋エクササイズをして、
腰が曲がる(伸びづらい)状態になる前に
対処しておくことをお勧めします。
なお、四つ這いの状態で同様の運動を
行っても良いと思います。
![](https://static.wixstatic.com/media/fd5851_4819039ffda64d0fad1e79664a083a34~mv2.jpg/v1/fill/w_130,h_90,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/fd5851_4819039ffda64d0fad1e79664a083a34~mv2.jpg)
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ではまた次回に。
![](https://static.wixstatic.com/media/fd5851_705c63575c09458eb3972202de190173~mv2.jpg/v1/fill/w_147,h_291,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/fd5851_705c63575c09458eb3972202de190173~mv2.jpg)