運動の発達とは2
運動の発達という視点から体育(Physical education;日本ではそう言
われているので参考図書訳本に倣い、そう記します)を考えるとき、
その目的と目標が重要になってきます。原点です。
目的は、一番上位になる意図を示し、それが「動きを学ぶ」「動きを
通して学ぶ」です。
動きを学ぶ=動き自体を学ぶこと、
動きを通して学ぶ=動き以外のことも同時に学ぶ 、と考えられます。
目標は、長期にわたる到達目標を示します。それは以下の4つです。
「運動スキルの習得」「体力の向上」「認知的学習」「情緒的発達」
昨日挙げた図をもう一度見渡すと、 目的と目標がはっきりします。
運動スキルの習得と体力の向上は動きを学ぶ目的に準じ、認知的学習
と情緒的発達は運動を通して学ぶ目的に準じます。
そして、これらの底流にある考え方の基本は、発達的視点に立つもので
ある、ということです。
どういうことかというと、あくまで子ども達は発達(運動面だけではあ
りません)の途上にあるということをよく考えて、体育指導を行うこと
が大切だということ、子どもを一人の人格的存在とみなし、認知・情緒
・心理面の配慮を持って接するということだと思います。
また、
年齢による発達度合いはある程度基準がありますが、あまりそれにこだ
わりすぎるのは良くないとしています。個人的なふさわしさと言う言葉
でそれを表していると思いました。
暦年齢や学年だけで基準を決めてしまい、個々人の発達度合いの違いを
無視し過ぎるのはよくない。
年齢的にあまりにも逸脱した発達の場合、それを見極めて個々の対応が
必要になるし、ある程度のズレはやはり個々への対応でカバーする。
同じ年齢・学年ということで一緒くたにし過ぎない、
ということでしょう。
年齢的なふさわしさというものの、ある程度基準を知っていることは、
もちろん重要なことです。
ただそれにこだわり過ぎて個々への対応を見失わないように、
ということでしょう。
なかなか言うは易し行うは難し、かもしれませんが、とても重要な視点
だと思います。ついつい集団で行う運動になりがちなので、(集団行動
の教育と言えばそうなのですが...)遅れをとった子は苦手意識だけが残
ってしまう可能性がありますから。
今日はこれくらいにして、読んでいただきありがとうございました。
ではまた明日。
(参考図書:「幼少年期の体育 発達的視点からのアプローチ」
デビッド・L・ガラヒュー 著、杉本隆 監訳、大修館書店、1999年)