パフォーマンスに関連する体力
子どもの体力の中でも、パフォーマンスに関連した体力の項目を5つ
あげました。バランス、協応性、敏捷性、スピードとパワーです。
バランスに関わる人体の部位は様々で、視覚をはじめ内耳(三半規管)
、小脳、筋肉や腱・関節内の固有受容器などからの情報を受けて、調節
されます。
また、
静的バランスと動的バランスに分けられます。
静的バランスはある姿勢を保つ際の安定性を示し、逆立ちや片足立ち、
不安定な場所・狭い支持基底面などでの姿勢保持能力をいいます。
★(著作者:Magdarena Roeseler)
一方、
動的バランスとは、平均台の上を歩く、綱渡りをする、トランポリンを
する、などの動きの中での身体の安定的な遂行能力を指します。
★(著作者:Iorenkerns)
全ての運動はこのどちらかの(あるいはどちらとも)バランス能力を
必要とします。そういう意味では、全ての運動の基礎となる能力といっ
てもいいでしょう。ですから、子どものしかも早い時期からバランス能
力を発達させることが大切になってきます。
協応性とは、例えばボールを蹴ったり、階段を登ったり、ラケットで
ボールを打ったり、粘土遊びや、ビーズ通しなど目と手や足の協調性を
含む動きです。
多くの運動システムを効果的に働かせて、統合した動きを作りだす
能力のことを指します。
敏捷性(agility)は、ある地点から他の地点へ動くとき、素早く身体の
方向を変えることのできる能力を言います。
子どもが鬼ごっこなどで追いかけたり逃げたりすること、ドッジボール
などで球を避けたりかわしたりすることなどが、それに当たります。
運動のスピードは、ある地点から他の地点へできるだけ短時間で移動
する能力のことを言います。
これは、反応時間(合図から身体が最初に動き出すまでの時間)と、
動作時間(動き始めてから運動が終わるまでの時間)に影響されます。
特に動作時間は、練習によって向上すると言われています。
これらは、鬼ごっこや走ること、登ることなどの動作の繰り返しによっ
て、練習する機会が与えられることになります。そのためには、十分に
広いスペースなどが、環境として提供される必要があります。
最後に、
パワーですが、これはできるだけ短い時間内にどれだけ最大の力が発揮
できるか、の能力です。瞬発的な力を指しますが、物理学的には、
力×速度で表されます(筋力の項で既に何回もお話ししてきました)。
要は、
力と速度の組み合わせです。子どもが跳んだり跳ねたり、打ったり投げ
たりする時に認められる運動です。
★(著作者:Georgie Pauwels)
結論として、
パフォーマンスに関わる体力は、多くは遊びの中から鍛えられる機会が
生じるということです。
子どもにとって遊びは大切ですね。大人もですが...
ここまで読んでいただきありがとうございました。ではまた明日。
(参考/引用図書:「幼少年期の体育 発達的視点からのアプローチ」
デビッド・L・ガラヒュー 著、杉本隆 監訳、大修館書店、1999年)