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朝野裕一

手の挙上と姿勢

姿勢によって肩関節(広い意味での)の動き、手の挙がり方が変わって

きます。今日はそのことについて考えてみましょう。

胸椎・腰椎の伸展に可動域の制限があると、いわゆる腰曲がりの姿勢に

なります。

このような場合、手(腕)の挙上には制限が生じます。

ちょうどこんな感じでしょうか?

これは、例えば洗濯物を上にかける時の動作とすると、背中(胸椎)

が伸びないと左のようになり、右は背伸びをしつつ背中(胸椎)を

しっかりと伸ばした状態を示しています。 図中の❌ ⭕️ はこの際、

無視してください。

では、

左の背中が丸まった状態ではなぜ高く腕が上がらないのでしょうか?

それは肩甲骨の(腕の挙上動作の)はじめの位置の違いにあります。

どういうことでしょうか?

左が背中(腰も)曲がっている状態の姿勢、右は背中がまっすぐ伸びた

姿勢を示しており、その下は背中側から見た上半身の図です。

その状態で既に肩甲骨の位置が異なることが、おわかりでしょうか。

左の背中が丸まった状態では、肩甲骨が既に最初から外側に移動して

しまっています。

右側では本来の肩甲骨の(ニュートラルな)位置にあります。

ここから腕を挙上していくと、

昨日お示ししたように、徐々に肩甲骨が外側かつ上側へ回旋しながら

動いていきます。

しかし、背中が丸まった状態では、最初から肩甲骨が外側にシフトして

しまっているので、このスムーズな肩甲骨と上腕骨(腕の骨)の連動

した 動き(=肩甲上腕リズムと言われています)ができなくなります。

結果として、腕が十分に挙がりづらくなります。

立っていて、洗濯物を干そうとした場合などは、腕が挙がらない分、

膝を前に押し出して、何とか腕の位置を上にしようとし、不安定な姿勢

になってしまいます。

みなさんも、椅子に座ってでいいので、背中を丸めたまま腕を挙げよう

としてみてください。思ったほど挙がらないのではないでしょうか。

今度は背筋をピンと伸ばした姿勢で、同じことをしてみてください。

どうですか?さっきより挙がるのがわかると思います。

ですから、背中の骨(胸椎)の十分な伸展方向への可動域を確保する

ことは、腕の挙上範囲を広げるtことに繋がるという訳です。

ここまで伸展しなくてもいいですが

(★著作者:Mateus Lunardi Dutra;タイトル:Smash the column)

ついでに言えば、胸椎の伸展と腰椎(腰の骨)の動きも関連性があり、

腰椎の動きと骨盤の動きは連動し、当然そこについている股関節の動き

にも関与してくるということになります。これが運動連鎖と呼ばれて

いるものです(kinetic chain or kinematic chain)。

まぁ、難しい話は置いておいて、姿勢によって手(腕)の挙がり方は

変わってくるということでした。

今日もここまで読んでいただき、ありがとうございました。

明日も上肢の使い方について考えてみましょう。ではまた明日。

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