• 朝野裕一

Journey to the Exercise World:Vol.2〜解説編〜

昨日の物語(とまでは言えませんが)は、一冊の著書からヒントを得

ています。今日はそれについて簡単な解説を加えます。

本の題名は、「人体 600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病」

(ダニエル・E・リーバーマン著、早川ノンフィクション文庫、2017)

人類の進化を身体レベルを中心に描いた本です。

チンパンジーの祖先と進化的に分岐したのが約700万年前、前後。

決定的な違いが、二足で直立位を保ち歩く能力を獲得したことです。

チンパンジーも立つことはありますが、長くしかも歩くことは無理で、

ヒトの手に当たる部分をグーのようにして甲の部分を地面に接して、

四足で進みます。

しかし、ヒトよりも移動できる距離が劣ります。

せいぜい2kmほどしか

地上を移動することはできません。

そもそも、

現人類になるまでにどうして二足歩行の進化を遂げたのでしょうか?

この著は、気候の変動について言及しています。上下動をしながら500

〜600万年前にあたって大きな気温低下を認めています。

それに伴って熱帯雨林の縮小と疎開林が拡大し、果実を採る場所が分散

されてしまったことです。

それだけ、

長い距離を移動する必要性が、というかそれができるものが

有利だった

ので、適応によって生き残ってきたということでしょう。

もちろん、

もともと果実を中心にした食物を摂取していた類人猿ですが、

必ず

果実

にありつけるわけでもなく、時に木の葉や茎、木の皮なども

食して

いた

と考えられています。

(★上記画像題名:Elements of process of human evolution Vector

引用先:Free EPS file Elements of process of human evolution

Vector download

より)

二足で立つことの有利さが、この著書でもいくつか挙げられています。

もう一度考えてみましょう。

一つは、多くの果実を採る際には、立ち上がった方が採取しやすい。

しかしチンパンジーでも果実採取の際に立って行うことはあります。

もう一つは、

採取した果実などを抱えて運ぶのに有利だったという説が

語られてきた

ことです。しかしこの著ではその点については疑問を呈し

ています。

やはり一番の有利さは、二足で歩くことの効率性です。効率がいいので

長く歩くことができるというわけです。

離れた疎開林の間を歩いて食物を採取するため、長く歩く必要性が

生じ

それには、この歩行の効率性は有利に働いたと考えられます。

一方で二足歩行の不利益についても述べられています。

それが、速度の問題。

四足動物の移動、特にギャロップによる速度にはとても追いつけない。

さらに急激な方向転換などの俊敏さもかなわない。

しかも木の上での移動能力はむしろ失うことになるので、その後の生活

が地上主体になっていくことになります。

捕食動物から狙われる危険性もあったと思われます。

その防御のため身を守る必要から後の武器などの用具の作製や、

集団

での狩猟(そのためのコミュニケーションとしての言語的合図)

などを進化させてきたのかもしれません。

この点は私の現時点での

推測にすぎませんが。

とにかく、長距離を歩くあるいは走る?能力を獲得していく方向で

人類は進化

していきます。

結果として、ヒトは後に、あるいはずーっと前から持っていたのか?

腰痛、足首の捻挫、膝痛などの危険性を抱えながら生きていくことに

もなるわけです。

この本の特徴は、

現代の人々が抱える様々な疾病などの問題を、進化生物学的な観点から

解き明かす丁寧な作業の記録ということになります。

実はまだ全文を読破していないので(・・・?)、続けて読んで

いこうと思っています。

皆さんも興味があれば、読んでみてください。文庫版の上下で手に

入れることができます。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。