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朝野裕一

人が速く動くことについて考えてみた:第四話

見事にドリブルをしながら相手を交わして俊敏に動く。

サッカーやバスケットでよく見られるシーンです。

大柄な選手より小柄な選手の方が俊敏に動くイメージがありますね。

実際、第一話第二話に書いたように、体格による体の動きの速さは

あると思います。

手足の長さによって生じる動きの速さの違いは、振り子の原理で

ご説明しました。

体格が大きい→手足が長い→振り子の周期が遅い→動きが遅くなる

という図式です。

もっと言うと、物の大きさに応じた固有の振動数というのがあって、

この振動数が振り子の周期と関連しています。

物を振った時の周期はその長さに関係しているということです。

でも一方で、

神経の刺激が筋肉まで伝わる回路が短ければ、筋肉はそれだけ速く

収縮すると考えられますね。

では、

手足の長い選手はそれだけ末梢の神経(筋肉までの距離)も長くなる

ので、伝わる速さは結果として遅くなる??とも思えます。

理論上はそうなるはずです。

でも本当にそうなのか?

背の高いNBAの選手が俊敏じゃないかといえば、テレビなどで

観ていても、決して遅い動きではないように見えますよね。

実際2メートル以上の選手でも、タラタラ動いていたらNBAクラスの

選手にはなれないでしょう。

ここで考えねばならないことは、

あくまで小柄な選手との比較であるということと、

速く体を動かすことと速く歩いたり走ったりすることは別の話だ、

ということです。

カラダの向きを変えるなどの動きは、小柄な選手の方が速いと

思われます。

しかし、

カラダが大きい選手はいわゆる図体がデカい分、ちょっとずれただけで

相手にとっての壁になることができます。そこを小さい選手は自分の

特徴である俊敏さで、より素早く交わしていくという互いの戦略で、

闘っているわけです。

歩行についても同じです。手足が比較的短い人は、速く歩こうと

すれば、振り子の周期が速いことを利用してピッチを速めて歩きます。

手足が比較的長い大柄な方は、振り子の周期は遅くても一歩の幅が

大きいので、大股にして歩くことで速さを稼ぎます。

走る時も同じで、前者がピッチ走法、後者がストライド走法になります

速く移動するための戦略を自ずと変えているわけですね。

一言で速く動くといっても、身の交わしが速いのと歩く・走るのが速い

のとでは、意味が違ってきます。

さて、

先ほどの神経の伝導の速さ(神経伝導速度と言います)の違いについて

はどうでしょう?

理論上は手足の長い方が筋肉に届くまでの時間は遅くなると思うのです

が、それは誤差範囲のお話なのではないかと勝手に考えています。

なぜならば、

神経伝導速度は神経の種類や部位によって違いもあり、

必ずしも一定ではないのですが、概ね単位が数十メートル毎秒の速さの

レベルです。ということは、例えば60m/秒の速さで神経信号が伝わると

仮定し、手足の長さが10cm違ったとすると、10/6000=1/600、

600分の1秒の差でしかない、となります。

どうでしょうか?100分の1秒差とはよく言いますが、その6倍の

細かさです。なんか誤差だよなぁと思ってしまいますよね。

それよりは長さに伴う固有の振動数の方が物理的に関与の度合いが

大きいのではないでしょうか?

私見ですので、間違っていたらご指摘ください。

とにかく今回は、

カラダを速く動かすといっても、どこをどう速く動かすか

について考えた上で話さないと、語れないということに改めて気づいた

というお話でした。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。

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