人が速く動くことについて考えてみた:第八話〜ボクシングから
ボクシングは、スピードとタイミングがとても重要な格闘競技です。
スピードと一言でいっても、
パンチを繰り出す頻度のスピード=ハンドスピード、一つ一つのパンチ
自体が速い、体の動きが素早いなど色々な要素があります。
この週末(現地5月12日夜、日本時間5月13日午前)、
アメリカニューヨーク、マジソンスクウェアガーデン(MSG)で
超スピード対決がいよいよ行われます。日本に10代の頃から来て
ボクシングの鍛錬をして来たベネズエラ出身(帝拳ジム所属)の
ホルヘ・リナレス:WBA世界ライト級王者と、
2008年北京・20012年ロンドンオリンピックで金メダルを取った、
ウクライナ出身のワシル・ロマチェンコ:WBOスーパーフェザー級
王者との対戦です。
ホルヘ・リナレスは、パンチ自体のスピードと体の素早さというかキレ
が抜群の選手です。もちろん高速パンチを連続的に打ち出すことも
できます。
一方のワシル・ロマチェンコは、体の動き自体がまず抜群に速い。
一説によれば、昔ダンスを習っていたということで、試合中もまるで
ダンスのステップを踏むように、一か所にとどまることなく、相手の
パンチをまずもらうことがありません。パンチ自体も素早くかつどこか
らでも打つことができる、いわば天才ボクサーです。
両者ともクレバーで戦略的にも長けたボクサーなので、果たしてどちら
が勝負を制するのか?世界中の興味を引いています。
同じ体の動きの速さでも、リナレスの場合比較的直線的な動きである
のに対して、ロマチェンコは常に体の位置・動く方向を変えることの
できる素早さです。
興味深いのは、ロマチェンコがダンスを習っていたということです。
アマチュア時代の彼のコーチはそのダンスの動きは必ずボクシングにも
活かせるから、と言っていたそうな
なるほど、と彼の試合を見たことのある人は思うでしょう。
実にステップが滑らかで、解説者の方々が揃って、氷の上を滑っている
ようだと、それくらい滑らかに速く動くということです。
試合の興味の焦点は、この誰にも止められなかったロマチェンコの
スピードボクシングを、果たしてリナレスは止められるのか?
WBAミドル級王者の村田諒太さんは、リナレスが止められなければ
もう誰にも止めることができない、リナレスが止めるチャンスはある
だろうという予想をしていました。
それくらい圧倒的な体の動きの速さを伴うロマチェンコですが、
もしみなさんの中で興味がありましたら、日本時間5月13日(日)午前
9時からのWOWOWエキサイトマッチで放送されますので一度ご覧に
なってください。
二人ともびっくりするくらい速い動きを見せてくれると思います。
しかも、
二人のスピードの特徴が異なるところも見ることができると思います。
前回第七話でお話しした野球のバットの振りの速さと同じように、
パンチが速いというのは手が速く動くだけではないことを確認できる
と思います。
下肢のステップの素早さや、体幹の振りの速さなどが攻撃と防御で存分
に発揮されるのをご覧になってください。
どっちが勝つかなぁ?
本当に五分五分のような気もするし、こちらの想像以上の圧倒的な速さ
・強さを見せるロマチェンコの過去の試合を思い出すと、ロマチェンコ
がやや有利なのか?
ただし今回はリナレスの階級、ライト級という一段階上のクラスでの
闘いなので、その点は体の大きさを含めてリナレスがやや有利でも
あります。
やはり五分五分か?
楽しみにして待ちたいと思います。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。