動的な安定性って?〜アライメントという考え方:7
静止している時の安定性とともに、動いている最中の安定性という
ことを考えることもできます。
これを動的安定性と言います。
静的安定性=static stability、動的安定性=dynamic stabilityです。
ここで少しややこしいのは、
人が身体を動かす(動く)には、静的安定性を崩す必要があります。
つまり、
安定を崩すことで人は動くことができる。その動的状態での安定性とは
一体どういうことなのか?
そう考えても不思議ではありませんね。一見矛盾した考え方のように
見えます。
しかし動いている最中に不安定性が増すとどうなるか、と考えてみると
分かりやすいかもしれません。
おそらくその動きは思ったような軌道を描けず、目的とした行為を
果たせないかもしれません。
つまり動いているその瞬間々々にも身体の位置(ポジション)が重要
だということです。
それを、
動的アライメントと言います。
動いている瞬間のワンショットを切り出してみるとその身体の位置関係
を測ることが出来ます。
ただし注意すべきは、動きの中の一場面を切り出してみても動きの特性
を完全に知ることはできません。
何故ならば、
動きにはその一瞬の前後に動きが連続的に伴っているからです。
動きをストップモーションで捉えたとしても、その時の身体の位置関係
はその前の動きに規定されるし、その後の動きに繋がっていくからです
ですから、
動的アライメントを静止画で見ることの限界は十分に知っておく必要が
あるでしょう。
単純に歩いている時でも同様です。
足を振り出して着地するその瞬間の足の着く位置や力の方向は、振り
出している動きの時点で、ある程度決まってきます。
そしてその瞬間が次への動きを決めていく。連続的なものが動きその
ものなので、当たり前といえば当たり前なわけです。
そう考えると、
ワンショットを見極める意味は、その前後の動きを類推するための資料
になるということです。
その時に身体の位置関係(動的アライメント)がどういう状態かという
ことを知ることで、目的とした行為の安定した遂行を予想することが
できます。
なんかちょっと理屈っぽくなりましたが、動的安定性という考え方、
動的アライメントを評価する意味が、少しはお分かりいただける
でしょうか?
安定して動くという一見矛盾した考え方が、日々の生活動作や歩き、
スポーツ動作など、全てのヒトの身体運動に関係しているんですね。
明日ももうちょっとこの動的安定性・アライメントについてお話し
したいと思います。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。