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朝野裕一

もう少し踏むことを考えた〜槍投げの場合

今まで、踏み切りについて考えてきましたが、今回は踏んで止める

ということを考えてみます。

陸上競技でいえば代表的なのが槍(やり)投げでしょうか。

助走をつけ、

そのエネルギーを最終的に槍に移してできるだけ遠くに飛ばす。

その際に槍を投げる角度などによってどれだけ遠くに飛ぶかは影響され

ますが、何よりも大きなエネルギーが槍に与えられなければいくら角度

が良くても遠くには飛びません。

ルール上決められたラインを体が超えてしまっては反則になります。

ラインの手前で体を止めて、そのエネルギーを槍に与える。

エネルギーの変換、変換といっても同じ運動エネルギーなのですが、

体から槍へと移行させる競技が槍投げと言ってもいいかもしれません。

ですから、

ここでの踏む行為は、止めるということに繋がります。

止めるということは、地面を踏む方向も前に進むのとは反対方向に、

強い力を働かす必要があります。

跳ぶ動作とは全く反対の踏み方になる、と言ってもいいのでは

ないでしょうか。

野球のピッチャーも助走こそつけませんが、体の動きを腕の振りから

手元へと伝え最終的にボールにエネルギーを与えることになります。

ピッチャーの場合も踏んで止めるという行為が必要なので、踏み込んだ

足がしっかりと止まるための溝を常にマウンド上で気にしていますよね

ピッチャーによって踏み込みの幅が異なるので、自分にあった場所に

ストップするための溝というか穴を掘っているのをよく見かけます。

とにかく、体の動きから得られるエネルギーを、投げるものに転換

させる、そのために足を踏み込んで止める作業が必要になる。

ものを投げるというのはそういう作業な訳です。

槍投げの場合はかなりの距離助走をつけられる=走るフェイズがある

ので、体の動きを止める作業は結構大変で、多くの選手が時に体ごと

倒れこむ(ラインの手前で)様子を見ることがあります。

ちょうどこんな感じです。

槍にエネルギーを移して、投げた後に生じる現象です。

歩く・走るは踏むことで前に進む、

走り幅跳びや走り高跳びは、踏むことで遠くあるいは高く跳ぶ

エネルギーに転換させるものでしたが、ものを投げることは完全に

足を踏んで動きを止めて、そのエネルギーをものへと移す作業です。

同じ踏むでも目的が違ってますね。

どんな目的にせよ、足を地面に踏み込む時の力の強さと方向=ベクトル

は全ての動きに関係してくると考えられそうです。

どう踏むかはどう地面からの反発力を利用するかに繋がり、それが動き

に影響を与えるという仕組みは、考えるととても面白いと感じました。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。

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