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朝野裕一

関節の機能を再獲得するにあたって

何らかの原因で、関節の本来持っている機能(役割を果たすこと)に

支障が生じてしまうことは、しばしば経験することです。

例えば、関節の動きに制限が生じ(可動域制限)硬くなること。

自分で思うように・楽に・スムーズに関節を動かしにくくなること

=可動性の低下

自分の下肢や上肢、体幹などに力を入れてコントロールすることが

できない=筋出力の低下。

体重を安定して支えられない=荷重支持能力の低下。

さらには関節を動かすのに痛みを感じてそれらを十分に行えないこと。

特に動かす時の痛みはすべての動きを制限させてしまいます。

痛みの感覚はある意味それ以上動かさないでくれという信号でもある

ので、急性期と呼ばれる時期には比較的安静にしていることが求めら

れる場合もあります。

特に、急性期の炎症状態にあるときには、いたずらに動かすことがいい

とは言えません。

そういう意味では痛みは大事な信号なのですが、それが慢性化してしま

うと動きを邪魔する因子に変身してしまいます。

また、痛みに対する感受性は個人差があるので、ある人はできることが

別の人にはとても耐えられないということも、よくあることです。

ですから、他人と比較し過ぎてもあまり意味がないと考えられます。

このような関節機能の低下から、元に戻る方向への道筋はどうやって

見つけたらいいのでしょうか?

一つの考え方をここに記していきたいと思います。

関節機能の再獲得・改善・維持のための考え方ですね。

大前提として、ここでも何度も述べてきましたが、もう一度確認して

みましょう。

こちらをご覧ください。

大まかに言えば上の図のような要素と獲得目標が対応していると考えて

います。

まずは関節の動きが十分に保たれていること、それを自分で楽にコント

ロールして動かせること。

それを抵抗下や荷重下でも適切に発揮でき、身体のバランスを安定させ

ることができること。

大体こんな順番が考えられます。

もちろん、

必ずこの順番通りに物事を進めていくとは限りませんが、逆に可動性が

低下しているのに動的に安定しているということはないと考えられます

すなわち、

ある程度段階的に考えてアプローチしていく必要があるということです

何でもかんでも力がないから筋力トレーニングを!とならずに、

なぜ力が十分に発揮できないかをよく捉えた上で、それ相応のレベルの

練習設定が必要でしょう。

そして、これは実はある意味とてもシンプル(決して難しいレベルの

ことをする必要はないという意味で)かつ地味・地道なプロセスです。

この辺をすっ飛ばして目標を高く設定し過ぎると、思った以上に時間を

要する、あるいは実現が遠のくことにもなりかねません。

急がば回れとはよく言ったものです

とはいえ、

先ほども書いたように、しばしば同時進行で達成できるということも

あるので、個人によってその進行度合いも違ってきます。

そのためには自分の状態がどういうレベルにあるかを知ることはとても

重要で、関節機能再獲得のためには必須の要素だと思います。

とかく、機能の再獲得という目標に向けて、早く達成したいという

気持ちが勝るのは、心理的にはとても理解できることなのですが、

直前の目標が高過ぎなどで適切でないとモチベーションが高いという

よりは焦りばかりが優ってしまい、基本的な運動の実践がなされて

いない、などという状態を招いてしまいます。

ここはとても重要で大前提になる、関節の再獲得へ向けて取り組む

際の心構えであると思います。

現状を正しく認識し、関節機能の原理原則を捉えて、自分にあった練習

を選択していくことが、関節機能再獲得への必要条件だと思います。

ここで必要条件といったのは、それさえやっていけば必ず達成できると

断言はできないからです。

しかし、日常生活レベルの活動を想定するとその道筋以外には近道は

ないと言えるでしょう。

スポーツ活動など、

活動レベルが上がるにつれて、さらに様々なアプローチを取り入れて

いく必要もあると思います。

ですから、ここではあくまで日常生活活動・動作のレベルを想定して

いることを改めて確認しておきたいと思います。

まぁ、考え方の原則は間違っていないと思いますけれど。

この話はまだ続きます。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。

簡単なようでなかなか理解しにくいことなのかなぁと思うこの頃です。

また明日。

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