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  • 朝野裕一

正常ってなんだ?!

ガリレオXという番組で、善と悪の科学という特集をしていました。

善や悪と科学?

どういう関係があるんだろう?と思われる方が多いでしょう。

善や悪とはその人が持つ個人的な価値観や倫理観と密接なものと

思われます。

もちろん多くの人が考える善と悪、という共通認識はあるでしょう。

道徳観といってもいいかもしれません。

とは言っても、全ての人が完全に共有できるとは限りません。

この極めて主観的と思われる事柄も、脳科学から解釈すると必ずしも

主観的というわけではなく、

そこにも客観的な要因があると考えられているそうです。

例えば、とても保守的な思想を持つ人の脳と、逆にリベラルな考え方を

する人の脳を比べてみると、

保守的な人の脳は扁桃体が相対的に(リバラルな人に比べて)発達して

いるというのです。

扁桃体は、情動を司る部位で、恐怖などを感じ取る部分でもあります。

つまり変化などに対して強く恐怖を感じやすいと言えるのではないか

ということのようです。

リベラル的発想を持つ人は、

前帯状皮質という部位が大きい傾向があり、対立する概念などに対して

その解決を図る役割をしているとのことです。

ちなみに、

扁桃体、前帯状皮質いずれも大脳辺縁系という部分に含まれています。

さて、

もちろんなぜそうなるのか、なっているのか?は分かりません。

成長の段階で何かをきっかけとしてある部位の発達を促すということが

あるのか?

もともと脳のある部位の発達が他の人より優れていたからそうなるのか

遺伝するものなのか?など

分からないことはたくさんありますが、脳の構造と機能がその人の行為

や思考に影響を与えることは理解できそうです。

何れにしても、構造と機能はお互いに関係しているものだと思います。

身体の構造と機能にしても同じことが言えるでしょう。

正しい動きというものがあるか?と問われれば、とても限定的な範囲で

しか判断できないと思います。

コップを手に取る方法に正解はないわけです。どうやろうともコップを

手に取れれば正解なわけで、

取ることができない、となって初めて正常な動きとは言えないと考える

ことができます。

もちろん容易にその行為ができるのと、ようやく苦労して行えるのと

では違いがあるでしょうし、ぎこちない動きというものからすでにその

異常性を判断することはしばしばあることです。

医学の診断的な場面でもよくある評価方法として動作の分析・観察は

重要な診断的価値を持っています。

しかしこれが正解です、というきっちりとした枠組みは作りにくいのも

確かです。

正常な動きとは、かなり観察している側の主観(プラス経験知)による

判断が伴うものだと思います。

正常と異常の境目をきっちりと客観的に、数値的に提示することは非常

に難しく、どうしても疑いやグレイゾーンという存在を作らなければ

なりません。

こういう場合どう考えたらいいのか?昔よく考えました。

結論として、

正常という決まった(動きなどの)パターンはないわけではないが、

それをある数値などで正常か異常かで分けることは不可能だということ

それでも、正常の範囲から明らかに逸脱した動きなどは判別できる。

その原因もある程度特定できると考えます。

では正常の定義は?と問われれば、

異常と言われる動きも含めて自由に動きを選択できる、ということでは

ないか?と考えました。

また、ある環境や条件下では動き方を変えることができる。最適な運動

を選択することができる。

さらに言うと、

わざと異常な動きもある程度再現(模倣)することができる。

運動の自由度を多く持つと言い換えることもできます。

そしてそれはちょっと論が飛躍しますが、個人の多様性をどこまで認め

るかという事とも関係がないわけではありません。

ちょっとぎこちない動きだから異常だ、と決め付けるわけにはいかない

ということです。

その動きがわざとなのか無意識なのか、ある条件下でついつい緊張の

あまり(などで)起きたものなのか?その動きにならざるを得ない

医学的な要因があるのか?という様々な背景や可能性を考えなければ

なりません。

あえて身体運動的な範囲に限って、異常(な動き)の定義を示すとすれ

ば、自由度が失われた状態。

つまり、その動きしかできない。環境や条件に適応しているわけでは

なく、ワンパターンの運動しか再現できないとき、となるでしょう。

それとその人自身の個性とは全く別の問題であって、身体運動の特徴

とは切り離して考えなければなりません。

正常という言葉をどの枠組みで、どういう定義でその時使っているかで

相手に与える意味はだいぶん違ってきてしまうので、運動に携わるもの

としても、よくよく注意して使わなければならない言葉だと思います。

まぁそんなことを考えている自分の脳もどういう構造と機能なのか?

ちょっと興味のあるところですね。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。

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