運動に抵抗感をもつあなたへ:特別編2〜イチローの言葉から
引き続きイチロー特集です。
運動に抵抗感をもつあなたにとってとても役立つのではないかと思い、
今日はイチローの言葉を紐といてみましょう。
彼は現役時代いくつかのインタビューに答えています。
今日はその中から二つの話を選んで紹介したいと思います。
その1.パワーが先じゃない、パワーは結果として現れるもので、
パワーさえあれば/つければなんでもできる、は間違いじゃないか。
これは、メジャーリーグでホームランの数を競う時代に、イチローが
感じた違和感を表現しています。
ここでイチローがいうパワーとは、
力強さの部分を特定した表現だと思ってください。
パワフルのパワーのイメージです。
これは、筋力さえつければなんでもできる、と言い換えてみると、
私が常々感じている違和感にも通じるものがあります。
そして運動、特に筋トレに対して抵抗感をもつあなたにとっても参考
になる言葉だと思います。
力の問題ではなく、筋肉の収縮のタイミングと力、速度がどう最適に
発揮できるかで、そのパフォーマンス(運動や活動などの効果)が決ま
ると考えてもいいと思います。
結論は力の要素だけではなく、むしろ神経系の働きに伴う筋収縮の
タイミングと、それを効果的に出力できる関節の柔軟性・可動性が大事
ということにつながるでしょう。
確かにイチローの身体をみると(決して極端に小さい身体ではない
;身長は180cmあります;のですが)、筋肉粒々ではなくアメリカに
渡ってからも、特に身体が大きくなった印象はありません。
むしろ常にしなやかな身体を保っているという感じです。
物理的な法則からすれば、このイチローの考え方は理にかなっている
と考えられます。
パワーはある物理的な仕事をする効率を表す指標でしかありません。
パワー=力×速度なので、
その力ばかりに着目するのではなく、速度の要素をどう考えるか、
(動きの)速度を高めるには、神経系の働きと関節の可動性(柔軟性)
が必要になります。
イチローはそこに着目して、パフォーマンス(物理学でいうところの
仕事を指します)の質を上げているというわけです。
その2.ボールを投げている練習のときにそれに集中し過ぎていると、
疲弊してかえって力が入り過ぎたり、集中できなくなってしまう。
むしろ人と話しながら投げていると、とてもしっくりと投げることが
できることがある(著者改変)。
これまた、デュアルタスクという観点からみると、理にかなった考え方
・感じ方と言えそうです。
他のことを一切感じずに一つのことに集中すると、かえって緊張が高ま
り、正確な・最適な動きが阻害されるということを示しています。
デュアルタスクの効用は一様ではないのですが、
二つのタスクを同時にあるいは交互に行なっていると、最初はどちらの
動きもまぁまぁの習得にとどまりますが、練習が進むにつれて、
一つずつ練習するよりもある時から効率のいい運動習得が可能である
という研究結果があります。
また、認知症予防には二つの作業(唄いながら運動をするなど)を行う
ことが有効であるという報告もあります。
いずれにしても、
なにか別のことをしながら、運動もするという状態は、脳への刺激に
なると考えられます。
イチロー自身も例えばとして、本を読みながら筋トレをするなども
いいのでは?と言っています。
私の知り合いでも、タブレットを見ながらバランス練習をしたりして
それを実行している人がいます。
さて、ここまでの二つのイチローの提言。運動嫌いのあなたにとって
なにが役立つか?をもう一度整理してみましょう。
その1.に関しては、激しく辛そうな筋トレを必ずしもしなくても、
十分体の動きを高めることは可能だということです。
誰でもどこでもできる簡単な運動が、筋トレにもつながるし、運動能力
を高めることも可能だということです。
その2.に関してはいわば、ながら運動(何か他のことをしながら
運動をする)でもいいのではないかということを示唆しています。
歯を磨きながらスクワット、なんかその典型ですよね。
もちろん本を読みながらでもいいでしょう。テレビを見ながらでも。
音楽を聴きながらでも。
イチローの言葉から二つ選びましたが、いずれも運動に対するハードル
を下げてくれる提言、と読み取ることも可能ではないかと思います。
あなたにもできそうな気がしてきませんか?
(常日頃オススメしている)
簡単な運動と、それを
「ながら」でいいのでやってみる
イチローからの言葉を、一般人にも広げて適応することができるという
提言でした。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。