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  • 朝野裕一

身体が動く本質〜歩くということ:2

物体が動き始めるのにはとても大きな力が必要とされます。

それは慣性の法則という物理学的な見方からでも、車の発進や自転車を

こぎだす時の最初の重たさを感じることからでも納得のいくことです。

歩き始めも同様のはずです。

でも私たちは難なく歩き始めることができています。そんなに大きな力

、特に筋力を発揮している実感はありませんよね。

あんまりそんなこと考えること自体がないかもしれませんが・・・

では、

どうしていとも簡単に歩き始められるのでしょうか?

ちょっと復習してみましょう。

 歩き始めの重心の落ちる位置=足圧中心の動きを示したのが上の図です

なんだかよく分からないですよね。

説明しましょう。

上の図は、左足を前に踏み出す歩き始めの状態を示しています。

重心の落ちる位置に注視してみましょう。直感的には、左足を前に出す

のですから、重心を一旦右に移してから左足を出しやすくする、と考え

られますよね。

確かに間違ってはいません。

ただし、

この右への重心移動をどうやって行うかが問題です。

そのために、

私たちが行っていることとは?

実は、

最初に行っていることととは、

左足で地面を踏ん付けて、重心を右側へ移動させているのです。

あんまり意識してはいませんよね。

でも実際起きている現象はそうなっています。

左で地面をふみ、重心を右へ移動させてから左足を前に降り出します。

もう一度やや立体的に表すと下のようになります。

さらにこの場面では、

もう一つの現象が起きています。

それは、

正確に言うと、最初に左足で地面を踏んづける方向は、右後方です。

何故ならば、

そうすることによって重心が右後方へ移動するからです。

重心が右へ移動することで、左足が出しやすくなる。と同時に、後ろに

移動することで、足は前に出しやすくなる、というわけです。

こんな微妙な作業をほとんど意識することなく、私たちはいつも行って

いるんですね。

ですから、

必ずしも強い筋力を発揮しなくても、重心の移動と床からの反力を利用

することで、歩き始めることができます。

まさに、

物理の法則に従った身体の動き。

これこそ、

身体が動く本質の一つです。

物理学特に力学を知ってこそ、身体の動きの本質を捉えることができる

と考える理由です。

もし、

物理や力学を知らなかったとしても、逆にヒトの身体の動きから学ぶ

ことができる、とも言えます。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。

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