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執筆者の写真朝野裕一

背骨という構造とその役割〜運動を科楽する:第1章(9)

1日配信が空いてしまいました。

身体の可動域について色々な観点から述べてきました。

今回は脊柱=いわゆる背骨の構造と役割について、その可動域・可動性

という視点から、考えてみたいと思います。

脊柱は主に3つのパートに分かれています。分かれていると言っても、

それらは全部繋がっています。

頚椎・胸椎・腰椎という部分です。

全ての構造が同じではありません。

一方で、骨と骨の間にはクッションとしての椎間板があることは同じ

構造でもあります。

頚椎は、主に頭の位置を決める役割を持っています。頭を思う方向に

向けて何かを見るという、視覚にとってとても重要な役割を持ちます。

視覚を基礎として、周りの状況を確認する、自分が見たいものを見る、

相手に目を向けコミュニケーションをとるなどの目的を達成できます。

実はその役割のほとんどは、頚椎の1、2番目の環椎と軸椎という脊椎

で果たされています。

では、

他の5つの頚椎(3番目から7番目)はどんな役割なのでしょうか?

頭を回す動き(回旋運動)の補助として働くと同時に、頭を傾ける

(側屈)、うなずいたり上を向いたりする(屈伸)動きに関係します。

簡単にいうと、頚椎の役割とは頭を色々な方向に動かすことです。

次に胸椎です。

胸郭という、肋骨に囲まれ肺という重要な呼吸に関わる器官を納めてい

る部分に連結しています。

ここが果たすもっとも重要な役割の一つが、回旋運動です。

頚椎の回旋に伴う頭の位置の決定とならび、身体自体(上部体幹)の

位置を決めます。

具体的には振り向く・振り返る動作や、手の位置を回して物を移動させ

る動きなどに関与します。

首(頚椎)の動きだけでは最大でも90度しか回すことができません。

ここに上部体幹の回旋が加わると、約35度の回旋角度が加わります。

計125度くらいですね(腰椎の回線は5度くらいと言われています)

ちなみに股関節も身体を回すのに関与しています。おおよそ45度くらい

です。全て合わせて170度。これでほぼ真後ろを見ることができます。

胸椎は他に体を左右に傾ける(側屈)動きや上部体幹部分の曲げ伸ばし

(屈伸)にも関わります。

特に腕を目一杯上に挙げる動作などは、胸椎の伸展方向の動きが関係

しています。

腰椎はどうでしょう?

これは体幹部分を曲げ伸ばすときに最も役割を果たしています。

そして、これは股関節の動きと密に連動しています。

これらの各脊柱(脊椎)の役割は構造的な特徴と密接に関係しています

が、解剖学的なお話はここでは省略します。

まとめてみると、

脊柱(背骨)の動く役割は、頭や身体の位置を移動させ目的とする動作

をやりやすくすることです。

同時に、可動域を限定させて体を安定して保持するという役割も担って

います。これは体幹部分の筋肉の働きと連動していて、いわゆるコアの

役割として広く認識されています。

可動域・可動性の観点からみると、

頚椎はあらゆる方向に、胸椎は回旋運動に、腰椎は屈伸運動にその役割

の重要性が見て取れます。

他の動きが決して重要ではないというわけではありませんが、まずは

どの動きが重要かと考えるときに、そういう見方ができると思います。

ですから、

頚椎の動きは回旋・屈伸・側屈、胸椎は回旋、腰椎は屈伸の動きに第一

に注意を払っておくべきでしょう。

※脊椎の動きとして、その構造上側屈と回旋は複合的に生じます※

結論:

首をあらゆる方向によく回し、上半身を左右に回し、腰の部分の伸びと

曲がりを確認することが、まずは日々の身体の動きを確保するために

大事になります。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。

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