身体が動く仕組みを知ろう;その4〜バランス能力ってなんだろう?(1)
昨日はバランス(能力)という言葉を考えてみました。
今日は、
もう少しその中身を静的・動的バランスに分けて考えてみましょう。
まず静的バランスです。
ある一定の姿勢・肢位(アライメントといってもいいかもしれません)
を保って安定していること。
これを成し遂げるために必要なことはなんでしょう?
筋力?平衡感覚?運動神経の良さ?正しい姿勢?体型?・・・
色々なことが考えられます。
筋力については、もちろん関係があります。しかし、単なる筋力の強さ
というイメージとはかなり異なります。これについては後で説明します
平衡感覚という言葉には、厳密にいうと前庭器官による平衡覚の調節の
意味が含まれています。
運動神経の良さは一般的によく使われる言葉ですが、あくまでイメージ
的な言葉で、実際は運動調節能力と考えられます。
正しい姿勢は、直立位のいわゆる良い姿勢をイメージさせます。
もう少し正確に説明すると、
肢位という言葉も使いましたが、これは骨の並び方=アライメント、
どういう並びで骨・関節が位置しているかということです。
これが姿勢を規定します。
体型は人により様々ですが、姿勢を決める一つの要因になると考えて
いいでしょう。
筋出力、姿勢・肢位(アライメント)、前庭感覚、みな静的なバランス
能力に関係があります。
さらに加えれば、アライメントを規定する要因である関節の可動域や
可動性、平衡感覚以外の感覚入力、
それは視覚、皮膚の触覚、関節や筋・腱の深部感覚、体性感覚などと
呼ばれているものを含みます。
これらの感覚入力と筋などによる出力の間にフィードバック的な関連が
あり、力の発揮度合いを調節しています。
ここであれっ?と思った方がいるかもしれません。
動いていないのに(静的)、筋出力が必要なの?です。
実は必要なんですね。
なぜならば、
重力の存在があるからです。
重力に負けずに直立位を保つ、それだけで筋肉の働きが必要です。
それを抗重力筋と呼ぶという話は以前しましたね。
そして動いていないというものの常に床(地面)との間に生ずる反力を
調節して微妙に動きながら姿勢を保っているんですね。
本当は微妙に動いているんです。
なので、床反力計の上でまっすぐ立っていても、常に重心の位置がわず
かではありますが動いています。
入力系⇔出力系の間でフィードバックが働いている、それで調節系が
働いて一定の位置を保とうとしているのですが、実はそれだけでは
ありません。
フィードフォワードといって、入力系の情報を得る前に、事前に出力系
を調節する機構も働いています。
これは特に動的バランス能力の際にはとても重要な働きをしていますが
このことはまた後で。
どうでしょうか?
単にバランスといっても、実はたくさんの要因が絡んで成り立ってるん
ですね。

今日は読んでいただき、ありがとうございました。また明日。