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  • 朝野裕一

身体性について〜その四

身体性とは、外界の環境からの情報インプットと、それを身体を介在

したのちに、外界になんらかの影響を及ぼす=アウトプットする。

その過程全体を身体性とここでは定義してみました。

環境が変化するにしたがい、インプット情報は変化するでしょうし、

また外界の変化によって、アウトプットされる力なども異なってくる

でしょう。

人類が地球上で生活しているうちは、1Gという重力という力を受けて

いる環境・状況は変わりません。

でもこれから人類は再び月や火星など、宇宙へとその生活圏を拡張して

いくかもしれません。

そうすると重力の影響は地球上とは大きく異なってきます。

月の上では地球上の6分の1、火星では約3分の1と減少します。

宇宙ステーションではほぼゼロに近い微小重力下での生活です。

普段は特に意識することが少ない重力という影響因子。

しかし、一旦ヒトが宇宙へとその生活圏を拡大していくと、この重力

の影響を無視するわけにはいきません。

ヒトはそもそも地球上における重力=1Gをもとにその身体(性)を

動かしたり活動しています。

エクササイズで言えば、スクワットなども自分の体重が負荷になるのは

この重力のおかげです。

逆に床や椅子から立ち上がる、あるいは階段や坂道を昇るのに苦労を

要するのも重力のせいです。

特に二足直立歩行を獲得してから以降の人類は、主に背面にある筋肉群

が重力に抗して(逆らって)身体を直立位に保っています。

これらの筋は抗重力筋と呼ばれています。

少しでも重力の少ない環境で生活すると、抗重力筋の働きは少なくて

すみます。

そのままそこで暮らしていれば、

徐々に身体の組成は変化していくでしょう。特に骨と筋肉は地球上で

生活している状態よりは萎縮していってしまいます。

神経の働きも、地球上のような重力を前提とした動きとは違ってくる

ので、重力が減少する環境下での新たな動き方みたいなものを獲得して

いく中で変化していくでしょう。

そこから地球上に戻ると、その途端に骨折の危険性や、まともに真っ直ぐ

立つことすらできなくなります。

1Gの重力下で素早く動くこともできなくなります。

これらのことから言えることとは?

地球上においても、直立で立ったり歩いたり(走ったり)、床から

起き上がったり、床や椅子から立ち上がったり、坂道や階段を昇り降り

したりする機会が少なくなる=重力に逆らった動きが少なくなると、

仮想的な重力低下状態の環境で生活していることになってしまいます。

結果的に、骨や筋肉が萎縮して、骨折を起こしやすくなったりします。

神経の働きも鈍ってくるでしょう。

それは、

起き上がり・立ち上がり・立位保持・歩行などの能力が低下してしまう

ことを示します。

つまり、思うような動き方ができなくなることを意味します。

身体性を失うわけではありませんが、その質が劣化してしまうと言って

もいいでしょう。

環境が変化することで、我々人類の身体性はその性質を大きく変えて

しまうわけですね。

どう考えても、ここ数十年は99%以上の地球人は地球という環境下で

引き続き暮らすことになります。

ですから、

なるべく重力を感得できる環境を自ら意識して暮らすことが必要です。

重力の重要性を改めて見直す必要があるのではないでしょうか。

階段を昇る時のツラさに代えて、おぉ!これが重力かぁ〜と感じながら

昇ってみたり、階段を降りる時には、下に転がり落ちないように重力に

逆らっているんだなぁ、などと感じながら生活することで、

自分が重力下で暮らしていることを実感する機会をたくさん持つこと、

それがまさしく身体性(地球上での)の質を保つことにつながります。

大げさに聞こえますが、とても大事なことだと思います。

明日からでも生活の中で重力を実感してみましょう!

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。

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